きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

Eyes of the Dragon/安藤まさひろ

演奏動画

安藤さん勇退ということで安藤まつり第二弾です。動画はエレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています。ここまでバッキングトラックをいくつか投稿してきましたが、ちゃんとギターがメロディを弾く曲は今回が初めてですね。今回の動画はアルバム冒頭の短いほう(Overture)です。いつかロングバージョンもやりたいと思っています。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=F, Tempo=100.75

Intro1
 |C |% |% |% |
 |C/F|C/F C/G|Am7|% |
 |C/F|C/F C/G|Am7|C/D|

Intro2
 |FM7/G |FM7/G G |FM7/G |FM7/G G |
 |FM7/G |

A
 |C |C/E |C/F |C/D C/G| x6

Ending
 |Ab/Bb |% |F/G G A/G Bb/G C/G |F/G |


コード進行云々以前に、まず言及すべきはこの曲が変拍子(7/8)であるというところですね。キャッチーで明るい雰囲気なのにリズムはトリッキーというところがこの曲の魅力だと思います。

短いOverture版の構成は単純で、イントロ→メロディー(2パターンのメロディがありますが、コード進行は同じです)→おしまいという形式になっています。

作曲者の安藤さんもコメントされていますが、キーボードで作ったリフから作られた曲ということで、イントロで出てくるCとGを繰り返すキーボードのリフが曲全体で使用されています。ということで、Intro1の冒頭4小節は、上のコード譜ではCとしていますが、構成音的にはCM9(=C+E+G+B+D=C+G)とするのが正確ですね。

続く8小節はこのリフが繰り返されたまま低音パートがF→G→Aと動く、ベース主導の流れになります。Am7前のC/Gはベースが経過音を弾いた結果こういうコードになっているにすぎません。続くAm7は、曲の構成から言うとC/Aという発想でできたものが結果としてAm7になっている、という感じです。最後の1小節はこの後のIntro2のF/G(=G7)に向けて、ドミナントにあたるD7の代理コードであるC/Dを鳴らしています。ここもリフは同じままで、ベースだけで表情を変えています。

Intro2はF/G~GでG7的な雰囲気です。ベースラインもファンク的というかG7一発ものっぽいフレーズです。

Aパートはこの曲のメインの部分です。ここもキーボードはずっとIntro1のリフが固定されていて、ベースだけがC→E→F→D→Gと動きます。機能的にはC→Em→FM9→Dm11→Gsus4的な役割ですが、この上で鳴っているコードがずっとCM9なので、一種独特の浮遊感を感じる響きになっています。

Endingは機能的にはEbに部分転調してIV/VであるAb/Bbを鳴らしつつ、ラストでベースはG固定・コードだけF→G→A→Bb→C→Fと上がっていく「未来感」のある進行で締められます。

この曲について

7拍子という一般には馴染みの薄いリズムのナンバーですが(最近だったら7/4拍子ですが、長谷工のコマーシャルでしょうか。「マンションのことならわかるんだ~」のアレです)、曲自体はとてもキャッチーで、ロングバージョンはOTTOTTRIOでも演奏されています。テーマ部の進行は安藤さん自身が「アドリブが弾きにくい」と言及されている通り、アルバム「HOT LIVE」のソロパート後半では「ネタ切れか?」と思われるくらい(安藤さんには珍しく)ロングトーンの繰り返しになってますね。

打ち込み自体は短い曲でコード進行も複雑でないので簡単かと思いきや、各パートのシンセの音色が違うので、このあたりの作りこみにちょっと時間がかかりました。

リズムが変則的なので、バチっとリズムがあったときなどこのバッキングに合わせてギターを弾いているととても楽しいですね。