きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

宝島/THE SQUARE

演奏動画

THE SQUARE(T-SQUARE)の名曲「宝島」をギターだけで演奏しました。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=F/D, Tempo=108(原曲は120)

Intro
 |Bb/C Bbm/C|F/C |Bb/C Bbm/C|F/C |
 |Bb/C Bbm/C|F/C |Bb/C Bbm/C|F/C Gm/F F|

A
 |BbM7 A7(b9,b13)|Dm7 Cm7 Cm7/F|BbM7 Gm7/C |FM9 |
 |BbM7 A7(b9,b13)|Dm7 Cm7 Cm7/F|BbM7 Gm7/C |F Bb/F F|
 |BbM7 A7(b9,b13)|Dm7 Cm7 Cm7/F|BbM7 Gm7/C |FM9 |
 |BbM7 A7(b9,b13)|Dm7 Cm7 Cm7/F|BbM7 Gm7/C |FM7 |

B
 |Bm7(b5) Bbm7|Am7 D7(#9) D7(b9)|Gm7 C7(b9)|FM7 |
 |Em7(b5) Am7 |Dm7 Dm7/C |Bm7(b5) Gm7 |Em7 F#m7 Gm7 A9|

C
 |DM7 F#m7 |Bm7 Am7 D9|GM7 A/G |F#m7 B7(b9) |
 |Em7 F#7(b9)|Bm7 E9 |Em7 |Em7/A F#m7/A G6/A A |
 |DM7 F#m7 |Bm7 Am7 D9|GM7 A/G |F#m7 B7(b9) |
 |Em7 F#7(b9)|Bm7 E7(13)|Em7 |BbM7 CM7 DM7 |

Ending
 |Bm7(b5) Bbm7|Am7 Ab7(13)|Gm7 Gb7(13)|FM7(#11) |

 

上記コード進行は演奏に使ったものなので、原曲とは微妙に違うところがあると思います。Endingはよくライブで演奏されている進行です(アルバム収録曲はIntroの進行でフェードアウト)。

これまでの投稿ではあまりテンションは書いていないのですが、この曲はテンション込みでないと雰囲気が出ないので外せないところはテンションも含めて記述しています。

まず構成ですが、本楽曲はインスト曲でありながら普通のポップスのような、王道のA-B-C構成です。Aメロで楽し気にスタートし、Bメロでしっとり、Cメロで転調して盛り上がるという、本当に歌モノのみたいな構成です(でもまぁOmens of Loveとかもそうか)。

Aセクションはいわゆる「Just The To of Us」進行です。この進行を初めて見たときは2つ目のIII7で「えっ、なんでこんなの思いつくの!?」と思ったものです。基本的にはIV→VImという流れ(I→IIIm的な流れですね)のVImの前にセカンダリドミナントであるIII7が入っているというのがこの進行。「Isn't She Lovely」のBメロやドリカムの「何度でも」のAメロもこの進行です。しかし、宝島と何度でもだと、全然雰囲気が違います。

VImのあとにVmがきて「おっ」となりますが、これはこの後のVIM7に行くための伏線です。IVM7をトニックに見立ててツーファイブの進行をさせるとVm7→I7→IVM7(Key=FならCm7→F7→BbM7)というこの流れになります(I7はフュージョンでおなじみの"IIm7/V"型の分数コード...ここではCm7/Fに代理されていますが)。

Bセクションは実は2つ目のBbm7がよくわかりません。2小節目のAm7に行くためのツーファイブBm7(b5)→E7→Am7の2つ目のドミナントが裏コードになってBb7、流れを重視してBbm7にした...んだろうか。5小節目の2つ目のコードのAm7も同じ形に見えます。マイナーのツーファイブならEm7(b5)→A7→Dm7となるところがマイナー化しています。でも、ここ、ツーファイブで演奏してみると当然ですがまったく雰囲気が違っていて、この解釈はあっていない気がします...。それ以外は丁寧に四度進行していて分かり易いのですが。

CセクションはキーもDに転調してぐっと盛り上がります。2小節目のAm-D7は3小節目GM7へのIIm-V。3~4小節目はポップスによく出てくる王道進行(IV-V/IV-IIIm-VIm)ですが、最後のVIは次のEm7に行くためのセカンダリドミナントであるVI7に変化しています。Em7の次のF#7は同じく次のBm7に行くためのセカンダリドミナント。Bm7のあとのE7は続く進行がEm7-A7(の変形)になっていますが、これはもともと(冒頭Dに戻るための)A7だけだったものがIIm-V化したもの。で、このA7にいくためのセカンダリドミナントのE7がここに配されているというわけです。

Cセクションの最後はBb→C→Dと平行和音でトニックに落ち着きます。このVIb→VIIb→Iはモーダルインターチェンジというか同主調からの借用和音ですが、よくセクションの締めで見かける進行です。(またもや)ドリカムの「未来予想図II」のイントロや、懐かしいところではコナミツインビーのメインBGMの締めもこれですね。

EndingはBセクションの変形で、ずっと半音ずつ下降進行しながらトニックのFに向かいます。ライブでもそうですが、最後のFを単純にFM7にせず、#11にしているのがジャジーかつ浮遊感があってシャレオツです。メジャーコードで#11がついているので、メロディ楽器のラストのアドリブはリディアンスケールで締めることになります。いわゆる「困ったときの、マイナーコードのドリアン、メジャーコードのリディアン」ですね(そんな格言はない)。

演奏について

島村楽器おうちで弾こう!動画チャレンジ 応募用に演奏しました。第三シーズンのテーマは「卒業/応援ソング」だったのですが、個人的にピンとくる曲がなく(というか、フュージョンやシティポップ・AOR系で卒業ソング・応援ソングってあんまりないですよね)、フリーテーマで応募するなら大好きなこの曲で、という流れからの選曲です。本来であればCメロもアドリブするべきなんですが、ギターオンリーということで構成的にも単調になりそうだったので、アドリブはAメロだけにしています。