Cakewalk by BandLab 更新情報/2022.06
2022/08/01 Update1の情報を追記。
自分用の覚え書き。
久しぶりのCakewalkアップデートです(前回は2022.02でした)。今回のアップデートではループ録音やパンチ録音における最後のテイクのクリップ長調整やMackie Control関連の改良、オフラインヘルプ対応やアプリ内アップデート機能の強化が行われています。
「最後のテイクをループ終端やパンチアウトタイミングまで自動的に延長する」機能は地味に便利な改善と思います。個人的に、ギターの録音ではコンピングモードを愛用しているのですが(下手クソなので...)、確かに最後のテイク(=ループ終了ボタンを押すタイミングでできてしまう不要テイク)のせいでその一つ前のテイク(だいたいこれがいい感じになっていることが多い)が分割されてしまうのは、気になっていたところではありました。なんというか、自分のやり方がおかしくて、もっといいやり方があるんだろうけど、まあいいか、と思っていました。
あと、アレンジセクションをドラッグコピーするとテンポマップがおかしくなる(テンポがたくさんコピーされてしまう)のは不具合だったんですね、知らない間にテンポ設定が増えているのを見て「操作を間違ったかな」と思っていました。
※公式サイトによる今回のリリース内容
Update1でのバグフィックス内容(build 28.06.0.034)
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オーディオエクスポートのプリセットでファイルタイプが変更されない問題を修正
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ループ録音によるコンピングを行っていない場合に、パンチアウト時刻までテイク延長すると必ずループ終了時刻に戻ってしまう問題を修正
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ピアノロールビューでノート名表示を変更しても、ノートをクリックすると元に戻ってしまう問題を修正
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複数のトラックをフォルダーに移動した際、元の順序とは逆に追加されてしまう問題を修正
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エフェクトプラグインのウィンドウに対して、(筆者補足:アプリとして許容される)最小サイズを設定
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一部の利用者で発生している「アクティベーションエラー(Activation Error 20)」の問題に対応
機能強化
コンピングモードにおける、ループ録音時の最終テイクの自動延長
コンピングモードでループ録音を行う場合、録音された複数テイクの最後のテイクが自動的にループ終端まで延長されるようになりました。この改善により、その直前のテイクが録音終了のタイミングで分割されなくなり、より簡単にコンピングできるようになりました。
注意:コンピングモードでループ録音を実行しつつ、(次に説明する)「Extend Takes to Punch Out Time(パンチアウトのタイミングまでテイクを自動延長する)」オプションも有効にしている場合、最終テイクは「ループ終端」と「パンチアウト」のうち、先に発生したタイミングまで延長されます。
「パンチ録音時の最終テイク自動延長」オプション
オートパンチでパンチ録音を行っている場合、Cakewalkはすべてのテイクを録音終了のタイミングで分割します。このためパンチアウトのタイミングよりも先に録音を停止するとクリップが分割されます。
この挙動は、例えば手早くコンピングを実施したい場合のように、すべてのテイクが完全な長さのクリップで揃っていてほしいようなケースでは、好ましくない場合があります。
この状況を避けるために「最終テイクをパンチ録音の終了タイミングまで自動的に延長する」オプションを追加しました。この機能を使う場合は録音ボタン(※筆者注参照)を右クリックして設定画面を開き、「Extend Takes to Punch Out Time option」を有効にしてください。
注意:「Extend Takes to Punch Out Time option」を使うためには、「オートパンチ」も有効になっている必要があります。
筆者注:この録音ボタンはトランスポートモジュール(通常は画面上部中央付近に表示されている、再生ボタンやスライダーのあるパネル)上のボタンです。右クリックで表示される画面は「編集 > 環境設定」で表示される環境設定画面の「プロジェクト - 録音」でも参照できます。
Mackie Control画面の改善
Mackie Control画面にいくつかの機能強化が含まれています。
筆者注:Mackie Controlはフィジカルコントローラの一種でこういう感じのデバイスです。
新しい互換モード
推奨モードである Cakewalk/SONARモードに加えて、Cakewalk/SONARモードが提供されていないコントーラー向けに、2つのエミュレーションモードが追加されました。
Mackie Control Universal (Universal Mode/ユニバーサルモード). Mackieのデフォルトのボタンレイアウトをエミュレートします。
Mackie Control Universal (Cubase Mode/Cubaseモード). MackieのCubase/Nuendoのボタンレイアウトをエミュレートします。
フィジカルコントローラ上のボタンがCakewalkの適切な機能に割り当てられるようにするため、Cakewalkとフィジカルコントローラの両方で同じモードを設定するようにしてください。
注意:もしフィジカルコントローラに「Cakewalk/SONARモード」が用意されている場合は、そのモードを利用することで最大限の互換性が得られます。
「Handshakeを無効にする」 が既定状態で有効に
Mackie Controlの初期のプロトコルでは、コントローラ初期化中にhandshake(相互接続確認処理)が求められていましたが、後にこの制限は撤廃されました。この変更に対応するため「Handshakeを無効にする」 オプションを既定状態で有効とするようにしました。本設定により、Handshakeプロセスを省略することができます。
注意:Cakewalk/SONARモードを設定している場合、古いタイプのコントローラ用にこのオプションを無効にすることができます。
パフォーマンスの向上
コントローラのリフレッシュ処理中に不要な計算が繰り返されないようにするため、内部処理においてルーティングやトラック/バスの順序をキャッシュするようにしました。この改善により、非常に早いリフレッシュレートを使用している場合、UIのパフォーマンスが向上します。
ルーティングやトラック/バスの順序を変更するとキャッシュがリセットされ、次にコントローラから要求されたタイミングで再計算が行われます。
「トラックのフォーカス変更時に親トラックフォルダを展開する」オプション
トラックビューのメニューに「Expand Track Folder on Track Focus」(トラックフォーカス時にトラックフォルダを展開する)オプションが新たに追加されました。これにより、フォーカスされたトラックの親フォルダが閉じている場合には、自動的にそのトラックフォルダが展開されます。フィジカルコントローラを使っている場合やコンソールビュー上でトラックのフォーカスを変更する際に、こういった挙動が便利なケースがあります。
「Region FXのレンダリング」に対するキー割り当て
「Region FXのレンダリング」に対してキー割り当てが可能になりました。これにより、現在選択されているクリップ中のアクティブなRegion FXをレンダリングすることが可能です。キー割り当ては「編集 > 環境設定」で表示される環境設定画面の「カスタマイズ - キーボードショートカット」画面で設定できます。
オフラインヘルプのサポート
オプションとして、オフラインヘルプが提供されます。ローカルヘルプを使用する場合は「編集 > 環境設定」で表示される環境設定画面の「ファイル - 詳細」で「常にローカルヘルプを使用」を有効にしてください。
最初にローカルヘルプを有効にしたタイミングや、それ以降、更新されたローカルヘルプが利用可能になったタイミングで、ダウンロードとインストールに関するトータス通知画面が表示されます。
もしPCがインターネットに接続されていない場合、Calkwalkはインターネットへの接続が有効になるまではオフラインヘルプを表示します。
注意:オフラインヘルプは今のところ英語版のみが提供されます。
ヒント:インターネットに接続しないPCでオフラインヘルプを使用したい場合は、インターネットに接続している別のPCでオフラインヘルプをダウンロードし、CakewalkHelp_Documentation_1.0.0.n.exe インストーラ(\Download\Cakewalkフォルダに存在するはずです)をリムーバルメディア等を経由して対象のPCに転送して実行するか、インストールされた Cakewalk.chm ファイルをCakewalkのルートフォルダ(既定では\Program Files\Cakewalk\Cakewalk Coreです)から対象のPCにコピーしてください。
アプリ内アップデート機能の改善
- これまでは BandLab Asistant か Cakewalk Web Installer 経由でのみ利用可能だったオプション機能(Studio Instruments SuitやDrum Replacer、試用版Medlodyne、テーマエディタ、デモプロジェクトなど)が、Cakewalk内でダウンロードできるようになりました。利用可能なアップデートは「ヘルプ > アップデートの確認」で確認できます。もしインストールしていないオプション機能やアップデート内容がある場合、ダウンロードやインストール用のトースト通知が表示されます。
- ダウンロードの進行状況を示すトースト通知に処理中のファイル名が表示されるようになりました。これにより、ユーザは何がダウンロードされているのかわかるようになりました。
- 複数のアップデートをダウンロードしようとしたり、進行中のダウンロードがある場合にアップデートを確認した場合にはエラーが表示されます。
ARM向けWindows11への対応
Windows 11 for ARMが動作するARM64 PC環境でもCakewalkが利用できるようになりました。
バグフィックス
- BandLabへのサインイン中にハングしてしまう問題への対応
- トースト通知でのクラッシュ防止
- 存在しないドライブに対するエクスポートによりクラッシュする問題への対応
- CD/DVDドライブへの直接的なエクスポートの禁止
- WAV以外のファイル型式が設定されている状態で、存在しないパスへのエクスポートが失敗する問題への対応
- 異なるファイルタイプやソースカテゴリのエクスポート後、アプリケーション終了時に空のエクスポートフォルダが削除されない問題への対応
- 不正なエクスポートパスが指定されている場合、プロンプトを表示するようにした
- Cakewalk External Controller API(外部コントローラAPI)の問題でCakewalkのGUIがフリーズしてしまう問題への対応
- 外部エンコーダのプリセットが正しく選択・保存されない問題への対応
- バウンス中、シグナルチェーンに含まれないバス上のプラグインでフラッシングが発生する問題への対応
- Melodyneがインストールされていない状態では、AudioからMIDIへの変換機能を利用できないようにした
- テイクレーン上でMelodyneのクリップをミュートするとクリップが消えてしまう問題への対応
- プロジェクト中にロックされたクリップが存在している場合、アレンジャーセクションが正しくエクスポートされない問題への対応
- アレンジャセクションのサイズを変更した場合、他のセクションにスナップされるようになった(筆者注:隙間なく詰められる状態となった)
- アレンジを確定すると、1 tick ずれる もしくは 最初のノートが消えてしまう問題への対応
- テンポが一つだけ設定されている状態で、セクションをCTRLキーを押しながらドラッグするとテンポマップが破損する問題への対応
- ユーザプロジェクトでセクションをドラッグコピーすると、テンポトラックが消えてしまう問題への対応
- ユーザプロジェクトにおいて、アレンジを確定した楽曲の開始時のテンポが正しくない問題への対応
- 環境設定の「WarnSilentBuses(音声出力されないBUSに対する警告)」の既定値をオフに変更した
- 同一レーン上に複数のクリップがある場合に、シェルフツールが正しく動作しない問題への対応
- 範囲選択した状態でドラッグ移動するとヌルポインタ例外が発生する問題への対応
- 非USキーボードを利用している場合に、"+"の文字がマーカーとして入力できない問題への対応
- オーディオトラックがアクティブトラックになっている場合、トラックフォルダのエコーボタン(筆者注:MuteやSoloボタン、Recボタンと並んでいる、Wi-Fiのマークを横にしたようなアイコンのボタンです)のステータスが正しい状態になっていない問題への対応
- MIDIクリップに対して「(メニューの)プロセス > 長さ」画面で100%より小さい値を設定すると、ヘアピン記号(筆者注:クレッシェンドやデクレッシェンド記号のことです。譜面ビューで指定できます)のデュレーションやアーティキュレーションマップのイベントが無視されてしまう問題への対応