Cakewalk by BandLab 更新情報/2022.11
2022/12/02 Update1の情報を追記。
自分用の覚え書き。
前回から2ヶ月で次のアップデートが来ました。今回のアップデートのトピックはMMCSS(Mutli Media Class Schedule Service。音声や動画のようなマルチメディアを処理するアプリケーションに対して優先的にCPUやディスク処理を割り振るWindowsのサービス)に関する挙動の変更だと思うのですが、それよりも気になったが、BugFixで説明されている内容。修正報告されている内容に、まだ使ったことのない機能=知らない機能がたくさんあります。Cakewalkのほんの一部の機能しか活用していないことを痛感します。
※公式サイトによる今回のリリース内容
2022.11 Update1(build 28.11.0.021)
※公式サイトによるリリース内容
機能強化:
- トラックのエフェクト欄の削除処理におけるクイックグループ化対応
- エフェクト欄のメニューに「Delete All(すべて削除)」を追加
- インターネットに未接続あるいは低速度のインターネットに接続している環境での起動・終了速度の向上
- プロジェクトのロード処理のパフォーマンス向上
- クリップのストレッチ量を小数点以下2桁まで表示
バグフィックス
- エフェクト欄に他のエフェクトが存在している状態でクリックグループ化を使ってFXチェインをバイパスするとアプリケーションがクラッシュする問題を修正
- ProChannelのFXチェイン内のエフェクトから呼び出す場合、クリックグループ化でFXチェインを再帰的に設定するのにSHIFTキーは不要とした
- 複数のトラックにまたがるFXチェインをクイックグループ化で削除する場合(CTRL+SHIFT)、他のトラックのFXチェインのプラグインインスタンスの削除に失敗していた問題を修正
- トラックのエフェクト枠からクイックグループ化でエフェクトの置換/削除を行う場合に(CTRL+SHIFT)、ProcChannelのFXチェインが処理されてない問題を修正
- クイックグループ化を用いてProChannelのエフェクトラックにエフェクトを追加しようとすると、(ProChannelでなく)トラックのエフェクト欄に追加されてしまう問題を修正
- プラグインメニューの動作が正しくなかった問題を修正
- 新しいオーディオ トラックを挿入した後、ProChannel が空になることがある問題を修正
2022.11 の主要な改善点
編集 > 環境設定 > オーディオ > オプション(録音、再生のオプション) の「MMCSSを使用する」について、既定値では、ASIOドライバーに対しては本設定が反映されないようになった。
利用中のASIOドライバがMMCSSをサポートしている場合は、特に何もする必要はない(訳者注:オプションの設定に関係なくMMCSSモードで動作します)。ASIOドライバのコントロールパネルの設定にMMCSSに関するオプションがある場合、MMCSSの機能を利用するにはそのオプションを明示的に有効にする必要がある。
もしドライバがMMCSSをサポートしていない場合、本オプションの下位設定である「Enable MMCSS for ASIO Driver」を有効にすれば、MMCSSの機能を利用することができる。
ドライバがMMCSSモードで動作している場合、パフォーマンスツールバー上にマウスカーソルを重ねて表示されるツールチップ上で、オーディオスレッドの優先度(Audio Thread Priority)に「Realtime」と表示される。もし同項目に「Time Critical」等の文言が表示される場合は、MMCSSを有効にしてみるとよい。
機能強化
オーディオエフェクトの置換
トラックやバスのエフェクト設定欄でオーディオエフェクトを置換できるようになった。置換を実行する場合、対象のエフェクトを右クリック~「Replace Audio FX」を選択し、置換したいエフェクトを指定する。
クイックグループ化を使用して、選択されているトラック/バスの同一のエフェクトのすべてのインスタンスを一斉に置換することも可能である。この場合、対象のエフェクトを含むトラック/バスを選択し、次にコントロールキーを押下しながら置換するエフェクトを選択する。FXチェーン内にあるプラグインを置換する場合、コントロールキーとシフトキーを押下しながら実行する。
注:トラックとバスの両方で素早くクイックグループ化するためには、上記の操作をトラックとバスのそれぞれで行う必要がある。
MIDIクリップにおけるコントローラのレンダリングの改善
見やすさを改善するため、MIDIコントローライベントはノートイベントよりも暗い色で、かつ背後に描画されるようになった。
また、トラックビューの「表示」メニューから「表示」>「Show MIDI Controller Events」を選択することで、コントローライベントの表示/非表示を設定することができる。
コンテキストメニューによるアレンジャーセクションへの移動
「アレンジャーインスペクタの表示/非表示」ボタン(訳者注:下の画像だと、メトロノームアイコン左側の[A]のアイコンのボタンです)を右クリックすることで、アレンジャートラックのすべてのセクションの一覧にアクセスすることができる。この一覧を利用することで、アレンジャーインスペクタを開くことなく任意のセクションに素早く移動することができる。
VSTプラグインへの「Send All Notes Off」メッセージの送信
特定のVSTプラグインでは、再生を停止した後も音が鳴り続ける場合がある。この問題に対処するため、再生停止時に「All Notes Off」メッセージをすべてのVSTプラグインに送信することができるようになった。本メッセージを送信したい場合、「編集」>「環境設定」>「ファイル」のVSTプラグインにある「SendSend All-Notes-Off Messages on Stop」を有効にする。
なお、このオプションは既定値ではオフになっている。これは、バーチャルインストゥルメントを多数使用している場合に発生する、演奏停止時の遅延を避けるためである(訳者注:2022.09更新の最適化に関する内容でも説明されていますが、All Note Offを処理するのに時間がかかるVSTiが存在するとのことです)。
ASIOドライバに対するMMCSSの有効/無効設定の追加
この設定により、ASIOドライバの状態とは独立してMMCSS(マルチメディア タイム クリティカル スレッド)を有効にすることが可能になった。
ASIOの仕様上、ドライバは既定状態ではMMCSSモードで動作することが推奨されている。もしCakewalk側でドライバのMMCSSSモードの制御を行いたい場合は「Enable MMCSS for ASIO Driver」をチェックする。
注:ドライバが内部的に管理しているMMCSSの状態と競合しないようするため、本オプションは既定値ではオフになっている。このため、ASIOドライバのMMCSSに関する動作については、Cakewalkの過去のバージョンとは異なる挙動を示す。もし利用しているASIOドライバの設定にMMCSSに関するオプションが存在する場合、MMCSSの機能を利用するには明示的にそのオプションを有効にしなければならない。
ASIOドライバに対してMMCSSを有効にする場合、「編集」>「環境設定」>「オーディオ」の「オプション」にある「MMCSS for ASIO Drive」をチェックする。
注:ドライバの中には既定値でMMCSSモードがオフになっているものがある。これらのドライバでMMCSSを利用したい場合は、ドライバ自身の設定画面でMMCSSを有効にするか、Cakewalkの「Enable MMCSS for ASIO Driver」オプションを有効にする、
WASAPIモードでのパフォーマンス改善
MMCSSが有効になっている場合、ドライバモデルがWASAPIであればメインオーディオスレッドがMMCSSで実行されるようになった。オンボードのオーディオデバイスをWASAPIの共有モードで動作させている場合、この設定により若干パフォーマンスが改善されるはずである。
訳者注:WASAPI...Windows Audio Session API。アプリケーションとオーディオデバイス間のストリームを管理する低レベルのWin32 API。
エフェクト設定におけるクイックグループのサポート
以下の操作でクイックグルーピングをサポートした。
- トラック/バスのエフェクト欄でのバイパス
- トラック/バスのエフェクト欄に対するエフェクト削除(CTRL+SHIFT押下により、選択されているトラックのすべてのFXチェイン中のエフェクトも削除される)
- 個々のトラック/バスのエフェクトバイパス
- トラック/バスのオーディオエフェクトの置換
パフォーマンスモジュールにおける Audio Thread Priority の表示
コントロールバーのパフォーマンスモジュールに、Audio thread priority(訳者注:意訳すると、オーディオ処理の優先度って感じですね)がツールチップとして表示されるようになった。これはトラブルシューティング時にも有用である。
メインオーディオスレッドがMMCSSモードで実行されている場合、ツールチップのAudio Thread Priorityには「Realtime」と表示される。
注:ASIOモードで MMCSSを有効にしているのにツールチップに"Time Critical"と表示されている場合、ドライバがMMCSSを使用していないか、MMCSSのセットアップが正しくない可能性がある。リアルタイムモードの場合、優先度は18以上になる場合がある。
バグフィックス
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パッチポイントを含むトラックからオーディオをドラッグアンドドロップするとクラッシュする問題を修正
訳者注:パッチポイントについてはこちら
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不完全なイベントアーカイブ(ファイルネームなしで保存されているオーディオイベント)を含むプロジェクトを開こうとするとクラッシュする問題を修正
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Spitfire Audio BBC Symphony Orchestraを使用したインストゥルメントトラックを削除するとクラッシュする問題を修正
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特定のトラックテンプレートを使用すると、ロード時にクラッシュするケースがある問題を修正
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「AUXトラックの削除」をUndoするとクラッシュする問題を修正
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あるプロジェクトを開いている状態で別のプロジェクトをロードすると、テンポトラックに間違ったテンポが表示されてしまうことがあった問題を修正
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再修正:モノラルのハードウェアの出力が常にステレオで出力されていた問題を修正
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アームされているトラックでは、入力元のAUXトラックがL/R/Sいずれの場合でもステレオメータで表示されていた問題を修正。
訳者注:トラックのアームについてはこちらを参照
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ミックスリコールタスクの二番目のエクスポート処理で予期せぬエラーが発生する問題を修正
訳者注:ミックスリコールについてはこちらを参照
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コンピングやオートパンチで古いテイクをミュートにしても、MIDIループでは音声が出力されてしまう問題を修正
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空のプロジェクトにおいて、アレンジャーセクションを上書きモードで移動させると、セクションが重複する問題を修正
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既に開いているプロジェクトをもう一度開くと、変更内容がクリアされ、開いているプロジェクトが再度初期化されてしまう問題を修正
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選択されたAUXトラックのみをバウンスすると、AUXトラックにルーティングされている入力元の音声情報が含まれず、無声状態となってしまう問題を修正
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再生中のアレンジャーセクションの移動やサイズ変更操作では「現在時刻」を設定しないようにした
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特定のプロジェクトを開いた後でマルチドックが正しく描画されず、ビューが開かない問題を修正
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クリップマップが、AudioSnapクリップで正しく描画されない問題を修正
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オフセットしたテンポマップでは分解能が失われる問題を修正
訳者注:テンポマップのオフセットについてはこちらを参照
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「エフェクトの削除」をUndoした際、MIDIインプットの有効/無効状態が元に戻っていない問題を修正
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トラックのエフェクト削除をUndoした後では、エンベロープが孤立してしまう。
訳者注:エンベロープは、オートメーションのことだと思います。「孤立(原文ではOrphaned)」とは「アサインされていない」ということなんでしょうか。
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再修正:プロジェクトオープン時、メインウィンドウ描画後にトラックインスペクタがちらつく問題を修正
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プロジェクトオープン時、ブラウザの折り畳み状態が保持されない問題を修正
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ブラウザ展開時、幅が正しく復元されなかった問題を修正
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プロジェクトロード後、ドッキングされたビューの順序が正しくなかった問題を修正
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特定のプロジェクトでは、マルチドックが正しく描画されなかったり、ビューが開かれない状態となっていた問題を修正
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マルチドック展開後、正しく最大状態に復元されない問題を修正