きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

ひとつだけ/矢野顕子(AIめろう版)

演奏動画

矢野顕子さんの「ひとつだけ」をNEUTRINOのAIめろうでやってみました。楽曲のコード進行や解説はひとつだけ/矢野顕子を参照ください。


youtu.be 

この曲について

当初はAIきりたんでボーカルを作成していたのですが、きりたんはかなり「元気」な声質だったため自分的にはしっくりこなかったためボーカルトラックはお蔵入りとし、ボーカルなしのカラオケバージョンとして公開していました。その後、NEUTRINOのVer.0.420で追加された音声モデルの「めろう(Merrow)」を試してみたところ、しっとりとしたお姉さん的な声質がかなりいい雰囲気だったので、ボーカルバージョンとして完成させたのが本動画です。この曲はやっぱり歌がないと...と思っていたのでひとまず満足です。なお、AIきりたんはサビのコーラス隊で参加しています。

NEUTRINOのVer.0.420ではタイミングモデルが変わっているとのことなのですが、このせいでナ行やンの声の発生タイミングかなり遅れるケースがあります。気になる箇所はタイミングを修正していますが、サビの「忘れないでいてほしいの」のところは「これはこれでありだな」と思ったのでそのままにしています。

ラストの「らいらいらーい」はAIシンガーだとかなり「嘘くさい」感じになってしまったので「ラララー」で歌わせています。悪しからず...。

 

NEUTRINOの各シンガー、歌声比較

NEUTRINOの各シンガー比較

以下の動画ではきりたん・イタコ・メロウの3人(きりたんは声質を変更して2パート担当)に歌ってもらっています。


youtu.be

元気を出して/竹内まりやの記事でも書いていますが、各AIシンガーは以下のようなパート割り・定位としています。

 一番右:きりたん(小田和正パート)
 センター右:イタコ(根本要パート)
 センター左:めろう(水野良樹パート)
 一番左:きりたん/FormantShift:0.90(大橋卓弥パート)

出だしのAセクションでは上記の順に一人ずつソロパートがあるので、各シンガーの特徴がよくわかるかと思います。

ここに含めなかった謡子・JSUTも含めて、各シンガーの個人的な感想を列挙します。参考になれば幸いです。

きりたん

さすがにAIシンガーとして話題となっただけあってとても自然な歌声。既定設定の歌声だと個人的には可愛い方向へのベクトルが強いと感じているので、FormantShiftに0.90を指定した少し大人っぽい声質にしたものを気に入って多用しています。

イタコ

NEUTRINOのVer.400以降に収録。きりたんに比べると少し硬い印象。声質の方向としてはきりたんと似ているので、使い分けが難しい。

メロウ

NEUTRINOのVer.420以降に収録。声量は少な目のウィスパーボイスですが、大人っぽい声質で個人的にはかなり好みです。アコースティックな曲調ではFormantShiftを変更したきりたんよりもマッチするのでは、という印象。

声質がかなり大人っぽいので今後いろいろ活用できそうです。きりたんのようにフリーで利用できる画像があるといいなぁ、と思いました。

謡子

合唱のサンプル歌唱でよく聴く歌声にそっくり。そのため、ポップスよりはピアノ伴奏+合唱系のハモリものにマッチします。

JSUT

声質の傾向としては謡子の路線。ただ、謡子よりも合成音声感が強く出ているような気がします。謡子と同様ポップスよりは合唱や童謡にマッチした歌声です。

元気を出して/竹内まりや

演奏動画

2019/3/29に放送された小田和正さんの音楽特番「風のようにうたが流れていた」で、小田和正さん・根本要さん・水野良樹さん・スキマスイッチの5名により演奏されたバージョンを耳コピして、NEUTRINOのシンガー3名+αに歌わせてみました。


youtu.be 

構成・コード進行・解説

Key=C/Bb/Eb, Tempo=92

Intro→A1→B→A2→C→A2'
Interlude→C→A3→Ending

Intro/Ending
 |C FM7|G Am7 G|FM7 F/G|C Dm7/G G7|

A1(涙など~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |FM7 Em7|Dm7 G7|

B(終わりを告げた~)
 |EbM7 Dm7|Gsus4 G7|Cm7 F7|BbM7 Bm7(b5) E7|
 |Am7 |D7 |G7sus4 G7|% |

A2(幸せに~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |F#m7(b5) Fadd2|C Gm7/C C7|

C(少しやせた~)
 |F G/F|Em7 Am7|Dm7 G7|C Gm7/C C7|
 |Fm Bb7|EbM7 Cm9|Dm7 |G7sus4 G7 |%|

A2'(チャンスは~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |F#m7(b5) Fadd2|C F/G G|

Interlude
 |C FM7|G Am7 G|FM7 F/G|C Gm7/C C7|

A3(人生は~)
 |C FM7 |G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7 |E7 Am7 G |Dm7 FM7/G|C F/G G|
 |Dm7 FM7/G|C |


この曲、シンプルに聞こえるのですが、ちゃんと分析するといろいろ凝っていて面白いところが多い楽曲です。

まず構成。いわゆる「Aメロ-Bメロ-サビ」みたいな構成ではなく「A-B-A-C」となっています。しかもBセクションは曲全体を通じて一回しか出てきません(勿体ない!)。AセクションとCセクションはどちらかがサビという感じはなく、ちょっと洋楽的な構成になっています。「元気を出して」ってわりと定番J-POPだと思うのですが、こういう変化球な構成でメジャーな曲になるのはなかなかすごいことだと思います。

次にコード進行。変な(=マニアックな)コードは出てきませんが、やはりいろいろろ凝っています。まず、A/B/Cの3セクションに分けられると思いますがB/Cセクションは違うキーに部分転調します(Bb、Eb)。

Aセクションはこの曲のテーマ的なセクションで都合4回出てきますが、最後のコード進行が4回ともちょっとずつ違います。コード進行のポイントとしては、まず前半3小節目に出てくるD7はそのあとのGへのセカンダリドミナント。A2で出てくるF#m7(b5)はD7の代理です。もともとはD7-G7-Cという流れだったものが、原曲ではF#m7(b5)-Am/G-Cに、今回のバージョンではさらにリハもされてF#m7(b5)-Fadd9-Cになっています。Fadd9はAm/Gと構成音がほぼ同じですが、こうすると直前のGから半音ずつベースが下降してイイ感じですね。メロディはダイアトニックですがコードがちょっと哀愁を帯びた感じになって、この曲の切ない感じを醸し出していると思います。

BセクションはKey=Bbに転調してVI-IIIm-VI7-IIm7-V7-Iという流れ。2小節目のA7はDm7へのセカンダリドミナントです。ここからKey=C(Am)に戻るため、後半のAm7に向けてマイナーのII-V(IIm7(b5)-V7)が挟まっています。

Cセクションは前半はKey=Cのまま王道進行。最後にFmへのセカンドドミナントであるGm7/C~C7をはさんでKey=Ebに転調し逆循環(IIm-V7-I-VIm)の進行をしつつKey=Cにもどる、という感じです。

あと、全体として切れ目切れ目で四分音符*2のダン・ダンというリズムが挟まっているのも特徴だと思います(例えばAメロ2小節目のC-G/B)。これがないと「元気を出して」感が半減する気がします。

なお、上記進行は「風のようにうたが流れていた」で演奏されたバージョンです。原曲は2回目のCセクションのあとKey=Dbに(半音上に)転調し、Aセクションを繰り返してフェードアウトします。

この曲について

先にも書いた通り、この動画は小田和正さんの音楽特番で演奏されたバージョンをもとにしています。この演奏は伴奏もスキマの常田真太郎さんのエレピだけというシンプルなものですが、男性4人による素晴らしいハモリが披露されていて、ほんとうに耳福なパフォーマンスでした。

NEUTRINOを使えば(全然レベルは違いますが)再現はできそうだということで作成したのがこの動画の演奏です。

最初はAIきりたんだけで作っていたのですが、ユニゾン部分での位相ずれによる「うなり」が気になったので、Ver.0.400以降のバージョンで追加されたイタコやメロウのシンガーにも参加してもらって四声ハモリとしています。

YouTubeの説明欄にも書いていますが、各パートは以下のようになっています。定位も放送での並びに準じています。
 一番右:きりたん(小田和正パート)
 センター右:イタコ(根本要パート)
 センター左:めろう(水野良樹パート)
 一番左:きりたん/FormantShift:0.90(大橋卓弥パート)

JSUTや謡子については声質がポップス向きでなかったので採用せず、FormantShiftを変更したきりたんを第四のシンガーとしています。

Dandelion Hill/T-SQUARE

演奏動画

自分のギター練習用のため、エレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています...とは言うものの、エレキギターパートはサビのアルトサックスとのユニゾンだけです。アコギパートはそのまま含めています。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=G/Bb, Tempo=114

Intro→A→A'x2→B→C→D
Interlude→A→A'x2→B→C→Dx2
Interlude→Axn(F.O.)

Intro/Interlude
 |C/E Bm/D C|G/E B/D# Em7|Am|Dsus4 D| x2

A
 |C/G|G|Am7/G|G| x2

A'
 |C/G|G |Am7/G|G|
 |C/G|Bm7 Em7|F |CM7 D|

B
 |Cm7 F7 |BbM7 EbM7|Am7(b5) D7 |Gm Gm/F|
 |Em7b5 Ebm|Dm7 Gm7 |Cm7 Bb/D|Eb Eb/F F|
C
 |Eb/Bb F/Bb|F/G |F/Eb |Cm Eb/F F|
 |Eb/Bb F/Bb|F/G |Dm7 |Fm7 Ab/Bb |
 |EbM7 |Bb/D|Cm7 |Gm7 Fm7 Bb7|
 |EbM7 Dm7 |Cm7 Eb/F|

D
 |F/G |Eb/F|F/G |Eb/F Am7/D|

 

本田期の和泉宏隆氏の楽曲は牧歌的というか、シンプルでゆったりしたものが多いですね。この曲がそうですし、HUMAN収録のBeyond the Dawnもそう感じます。テンション多めの複雑なコードや転調は最小限にして、響きの美しさを聴かせる雰囲気になっています。

Introは2小節目の2拍め(B/D#)がポイント。1小節目と少しだけ変わっていて、これはEm7へのセカンダリドミナントですね。D#の音がドキッとします。

AやA'の前半はベースがGのまま上のコードがサブドミ→トニックと繰り返して変化をつけるパターン。単なるG一発ではなく、コードトーンのC→B→A→Bという流れが綺麗です。

A'の後半は一転してカラフルに。普通だとBm→Em→Am→D(IIIm→VIm→IIm→V)という流れになると思いますが(実際メロディはダイアトニックのスケール音のみなので、この進行でもシンプルですがおかしく感じないと思います)、3小節目のAmを代理コードのF、そのあとにCM7をはさんで4度進行させているのがポイント。

Bはこの曲で唯一ジャジーな流れ。キーはBbに転調しIIm→V→I→IV→VIm(b7)→III7→VImとオーソドックスに4度進行。最後のAm7(b5)→D7→Gmはノンダイアトニックコードが含まれていますが、これはマイナーキーでのSD→D→Tという教科書的な流れですね。そこから半音ずつベースを下降させる進行をはさみながらIIIm→VIm→IIm→I→IV→Vという同じく教科書的な流れ。ただ、最後のI→IV→Vは単にBb→Eb→Fとするんではなく、Bb/D→Eb→(Eb/F)→Fとベースが半音ずつ上がっているところがポイントですね。

 サビは分数コードが並んでいますが、アイデア的にはBb→Gm→Eb→Fというシンプルな流れ(I→VIm→IV→Vですね)がベースにあって、メロディに独立したハーモニーをつけることでこの進行になっているんだと思います。このあとはサビ後半のEbに向かってセカンダリドミナント(Bb7の代理であるAb/Bb)をはさみつつ、Room335のAメロでも出てくるVI→IIIm→IImという進行で締めにかかるという感じでしょうか。

この曲について

アルバムでは爽やか担当曲だと思うのですが、Daisy Field(アルバム"Natural"、これは安藤氏の作ですが)から続く、自然派シリーズの一曲と個人的には思っています。先にも触れたBeyond the Dawnも含め、この三曲は雰囲気がよく似てます。

この記事のためにちゃんとコード進行を分析して初めていろいろスパイスがちりばめられているの気が付きました。さらっと聴いている分にはメロディ主体の(いい意味で)シンプルな楽曲というイメージだったので驚きです。

SUMMER CANDLES/杏里

演奏動画

杏里の名曲「サマーキャンドルズ」をギターだけで演奏しました。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Intro
 |BbM7|Gm7|EbM7|Cm7 Dm7 EbM7 EbM7/F|

A(近すぎて~)
 |Bb|Bbaug|Bb6|Bb7|
 |EbM7 F/Eb|Dm7 Gm7|Cm7 |Eb/F /G /F|

A'(若すぎた~)
 |Bb              |Bbaug  |Bb6  |Bb7|
 |EbM7 F/Eb|Dm7 G7|Cm7 |Eb/F /G /F|

B(流れ星たちが~)
 |Gb     Ab/Gb|Fm7 Bbm7|Ebm7 Gb/Ab|Bb|
 |Ebm7 Gb/Ab|Fm7 Bbm7|Ebm7 Gb/Ab|EbM7/F|
C(いつまでも~)
 |BbM7 Gm7|EbM7 F Eb|Dm7 Gm7|Cm7 EbM7/F|
 |BbM7 Gm7|EbM7 F Eb|Dm7 Fm7|Ab/Bb Bb7|

D(こんなに深い~)
 |EbM7|Dm7 |Cm7 |Dm7|
 |EbM7|EbM7/F|BbM7|%|

Interlude
 |BbM7 EbM7/F|

E(幾千の~)
 |Gm7 Gbaug|Bb/F C/E|Eb Ab7|Dm7 Gm7|
 |Cm7 Dm7|EbM7 |EbM7/F|%|

Ending
 |Gb/Ab|BbM7|Gb/Ab|BbM7|

 

上記コード進行は演奏に使ったもので、原曲とはセクション間のつなぎ等を微妙に変更しています。また、Endingは原曲ではBbM7だけです。

この曲のポイントはクリシェと王道進行(IV→V/IV→IIIm7→IIm7)の多用でしょうか。曲の発表は1988年とバンドブーム全盛の頃ですが、部分転調も多く、コードが4音主体でV7がIVM7/Vになっているあたり、アレンジ自体はシティポップの文脈に沿ったものかなぁと思います(編曲は小倉泰治氏)。

Aセクション前半4小節はBbのクリシェ。下降方向ではなく上昇方向のクリシェが使われているところがポイント。後半4小節は王道進行。2回目では6小節目の2拍目がG7になっていて(次のCm7のセカンダリドミナント)、ここが胸キュンポイントだなあと思います。

Bセクション前半2小節はDbに転調してまたも王道進行。自分で弾いてみて気がついたんですが、Bセクションの最初の4小節はT-SQUAREの名曲「Omens of Love」のBセクションと(最後にVIメジャーで締めるところも含めて)ほとんど同じですね(フュージョンつながりでいくと、DセクションもRoom335のAメロとほぼ同じ感じですーRoom335の方は正確にはIVM7→I/III→IIm7→IIIm7ですが、機能的にはおんなじです)。そのあとはIIm7(Ebm7)はじまりの逆循環をまじえつつEb/Fに着地してサビのBbに向かう。

大サビのEセクションは下降方向のクリシェです。そのあとの三小節目後半のAb7は、もともとはGm7に行くためのD7の代理で、Gm7もII-V化してAb7→Dm7→Gm7という感じでしょうか。違うか。ここは勉強不足で自信がない部分です。

演奏について

島村楽器おうちで弾こう!動画チャレンジ 応募用に演奏しました。テーマが「懐メロ/バラード」だったのでタケカワユキヒデ作曲のナツカシ曲を題材に譜面起こしも終わっていたのですが、息抜きに「バラードだとこれかなぁ」とコード弾きしてみたらこちらの方が楽しくなってしまって題材変更。こちらは譜面は起こさずヘッドアレンジで演奏しながら作ったのですが、ベースパートのフレーズを決めるのに時間がかかりました。

アコギの音のほうがあうだろうということで、メロディとコードはARIAのSinsonidoを使っていますが(ガチのアコギは持ってないので...)、ベースパートはエレキベースっぽいイメージでやりたかったのでストラトで弾いています。

メロディパートはかなりノリで弾いているので原曲とは譜割が違うと思いますが、元の曲もバージョンによってボーカルの譜割が全然違っていて「作曲者である杏里さんご本人も正解を決めていないのでは...」と思ったりしてます。

ひとつだけ/矢野顕子

演奏動画

クリフ・アーモンド(Dr.)とアンソニー・ジャクソン(Bs.)の三人で演奏している2006年ごろのライブ映像から"雰囲気"耳コピしました。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=E(Aメロ)~F(サビ), Tempo=112
Intro→A→A'→B→Cx2
C'→D→A→A'→B→C→C'
E→Cx4→C'→Ending

Intro
  |Eadd9 Cadd9|Dadd9 Bm9|Cadd9 Am9|Badd9|
  |Eadd9 Cadd9|Dadd9 Bm9|CM9 Am9 |B7|% |

A(欲しいものは~)
 |EM7 G#m7|C#m7 |CM7 D |GM7 F#m7|
 |EM7 G#m7|C#m7 |Cadd9 |C#m7(b5)|
 |D B |EM7 |A/B B |

A'(けれども~)
 |EM7 G#m7|C#m7 |CM7 D |GM7 F#m7|
 |EM7 G#m7|C#m7 |Cadd9 |C#m7(b5)|
 |D C |Bsus4 B|

B
 |Db |Gb Ab|Fm |Bbm C|

C(離れているときでも~)
 |F |Em7(b5) A7|Dm7|Cm7 F7|
 |BbM7 Am7|Gm7 Bb/C|BbM7 Am7|Gm7 Bb/C|

C'
 |F |Em7(b5) A7|Dm7|Cm7 F7|
 |BbM7 Am7|Gm7 Bb/C|

D
 |Bbm7 |Eb7|F#m7 |A/B |

E
 |F Db|Eb Cm|Db Bbm|C |
 |F Db|Eb Cm|Db Bbm|Bb/C |%|

Ending
 |Bb/C |%|F|

 

まずなんといってもIntroの浮遊感。進行的にはI→VIb→VIIbというモーダル・インターチェンジが効いているんだと思いますが、メロディもすべて9th始まりになっていてなんともいえない透明感があります。この進行、2コーラス目後の間奏(上記でいえばEセクション、キーはFに転調してますが)でも出てきます。

Aメロは出だしはI→IIIm→IVで普通っぽい曲かと思ったらすぐさまKey=Gに転調。このあとEへの戻り方(D→B)がまた浮遊感を感じます。

Bセクションは歌モノなのに4小節も歌詞なしになるというのがポイント。キーもシレっとDbに転調。

サビはさらにFに転調しますが、コード進行はオーソドックスで(1グラムの幸福のサビと同じ、カノン進行のバリエーション)ぐっとキャッチーになります。A・Bメロの不思議感とサビのキャッチーさの対比がこの曲の気持ちよさの一つと思ってます。

打ち込みについて

歌モノということでAIきりたんによるボーカルパートも作っていたのですが、どうしても曲の雰囲気になじませることができず、バッキングパートだけで完成としました。原曲はボーカル+ピアノ、ベース、ドラムスの3人だけの演奏なのに、ダイナミクスや疾走感がとにかく素晴らしくて、何回聴いてもやっぱりホンモノにはかなわないなあとつくづく思います。

Giant Side Steps/THE SQUARE

演奏動画

自分のギター練習用のため、ギターパートを除いたバッキングトラックになっています。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=F, Tempo=110
Intro1→Intro2→A→A→B→A
→Interlude→Cx3→B→A
→Ending

Intro1/Interlude/Ending
 |F F/Eb|Dm7 Dbaug Bb/C|F F/Eb|Dm7 Dbaug Bb/C|
 |F/Eb Dm7 |Dbaug F/C G/B|BbM7 Ab7 |Gm7 Bb/C B9(-5)|

Intro2
 |Bb/C|C|x4

A
 |F C/F|Bb/F Bbm/F|F C/F|Bb/F C/F|
 |Bb/F C/F|C#dim/F F |Eb/F |%|

B
 |F/Eb |Dm7 |Dbaug |F/C|
 |BbM7 |F/A |Gm7 |EbM7|
 |Cadd9|%|%|%|

C
 |F/Eb |Dm7 |F/Eb |Dm7 |
 |B7#11 |BbM7|Gm7 Am7|BbM7 Bb/C|

 

このタイトルはやはりコルトレーンのGiant Stepを意識したものなんでしょうか(確か当時のキーボードマガジンのインタビューで、作曲者の伊東たけし氏がちょこっとコメントされていたような)...。ただ、コルトレーンチェンジは使われていなくて、その代わり(?)に分数コードを多用し、セクションごとに「ベースだけ動かす」か「ベースは動かさない」という進行になっているのが特徴と思います。

 

Intro1(Interlude/Ending)・B・Cは「ベースだけ動かす」パートです。上のコード表記ではいずれも2つ目のコードがDm7になっていますが、アイデア的にはF/Dなんだと思います。上で鳴っているコードはFに固定しておいて、ベースだけFからだんだん下がっていく、という形ですね。途中Ab7のようなノンダイアトニックなコードも出てきますが、気持ちとしてはずっとキー=Fと考えておられるようで、伊東たけし氏のエンディングのリリコンソロでもAb7を意識せずにFメジャーのスケールで吹ききっています。

 

Intro2・Aは「ベースは固定」パートです。Aセクション・Bセクションのベース音はそれぞれC、Fに固定されています。

 

CはBのバリエーションだと思うのですが、後半はこの曲で唯一のカラフルな進行です。まずB7#11が何とも刺激的で、安藤まさひろ氏のギターソロでもコンディミでアウトしていく感じがムチャクチャ気持ちがいいです。そのあとのIIm→IIIm→IVM7→IV/Vという進行はV7とかIIm7→V7の時に置き換えて使える進行ですね。上昇していく進行がワクワクする感じになります。スティービーワンダーのIsn't She Lovelyのサビ最後に2小節続くA/Bをこれに置き換えた演奏を聴いて「あ、これいい」と思ったものです。

この曲について

T-SQUAREの楽曲では定番の「リリコン/EWIがメロをとる爽やか系ナンバー」の一つだと思うんですが、コード進行がメカニカルで、かつ「これがサビ!」っていう部分がないので「宝島」や「Omens of Love」ほどにはメジャーにはなりきれていないって印象があります。でもこの「セッションでやろうぜ」感満載の進行のおかげで、ライブではアドリブ合戦・ソロ回しがいつもとても盛り上がりますよね。CDに収録されているバージョンでもギターソロのバックで和泉氏がピアノでガンガン盛り上げていますし、ベースとドラムは全体を通してかなり自由に弾きまくっています。市販の譜面では特にベースは単なる繰り返しとなっていることが多いと思いますが、実際には同じように弾いているところはほとんどありません。盛り上がりに合わせて細かく弾きまくっているので、めちゃめちゃ聴きどころではないかと思ってます。