DANS SA CHAMBRE/THE SQUARE
演奏動画
安藤さん勇退にからめまして、安藤まつり第四弾、アルバム"YES,NO"のオープニングナンバー「DANS SA CHAMBRE」です。動画はエレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています...とは言っても、この曲ではエレキギターはソロで乱入してくるだけなので、カラオケ感は希薄ですが。
構成・コード進行・解説
Key=C Tempo=129.7
Intro1→Intro2
A→Bx2→C→D
A→Bx2→C→D'→D
Axn(F.O)
Intro1
|N.C. |% |% |% |
Intro2
|FM7/G |AbM7/Bb |EbM7 |Db6 Db7|
|CM7 |Bb7(b5) |Am7 |CM7/D D7 |
|F#m7(b5)|B7 |Em7 |A7(b9) |
|Dm7 |FM7/G |AbM7/Bb| % |
A
|FM7/G |%|AbM7/Bb|%|
|FM7/G |%|AbM7/Bb|%|
B
|CM7|% |Am7|% |
|Fm7 |AbM7/Bb|CM7|FM7/G|
C
|CM7|Gm7/Bb |Am7 |Fm7/Ab |
|CM7|Gm7/Bb |Am7 |AbM7 G7sus4|
D
|Cm7 |G/B |Bbm7|F/A |
|Abm7|BM7/C#|F#M7|Fm C9 B7(b5)|
|Bbm7|F/A |Abm7|Eb/G |
|F#m7|F#m7/B | EM7 |F#m7/B B7(b9) |
|CM7 | % |
D'
|Cm7 |G/B |Bbm7|F/A |
|Abm7|BM7/C#|F#M7|Fm C9 B7(b5)|
|Bbm7|F/A |Abm7|Eb/G |
|F#m7|F#m7/B | EM7 |% |
この曲のコード進行の特徴は、まず、Key=Cでありながら同主調のメジャーキーであるEbにしょっちゅう部分転調(というかモーダルインターチェンジというか)しているところですね。セクション問わずとにかく行ったり来たりしています。
2つ目はサビ(上記コード進行表ではDとD')の進行。僕は絶対音感がないので、普通に聴いていた時は「8小節のパターンが2回繰り返される」「2コーラス目の最後は(ポップスでよくある)上方向に転調している」と思っていました。ところが実際は、8小節のパターンが繰り返されているのではなく、後半の8小節がシレっと(というわけでもないのでしょうが)下方向に転調してるんですよね。だから2コーラス目の最後は上方向に転調したのではなく、元のキーに戻っているだけという...。
あとは、イントロの進行がオシャレ感満載です。出だしはフュージョン定番のVI/Vのコード(Key=CなのでFM7/G)で始まって、先にも述べたようにすぐにEbに転調(EbのVI/V→Iという流れ)。4小節目でDb(これはG7の代理ですね)が出てきてCM7に戻る。次のBb7(b5)はAm7に行くためのE7の代理、そのままAm7→D7と四度進行してGに行くのかと思いきや、同じキーのマイナートニックであるEmに行くためのツーファイブ(F#m7(b5)→B7)が出てきます。ドミナント(ここではD7)を提示した後に解決せず、こういう流れもありなんだ、と思いました。このあとはA7→Dm7と4度進行しつつDm7が出てきたおかげでKey=Cに戻った!と思ったら最後はまたもやKey=EbのVI/Vで期待を持たせて始まる...。イントロのこのコード進行はこの後は一切出てこないのに、ものすごく凝っていると思います。
この曲について
管に加えて弦も入ったアレンジになってて、フュージョンというよりちょっとイージーリスニングっぽい印象があります。アドリブソロも途中で乱入してくるギターとラストのピアノだけなので、初めて聴いたときは「ライブ向きじゃないかもなぁ」と思っていたのですが、意外なほどライブでも演奏されてますよね。ライブでは、安藤さんはソロだけでなくカッティングでチャカチャカやっておられます。
管といえば、このアルバムの管楽器アレンジはSeawindのジェリー・ヘイが担当されていて、ムチャクチャかっこいいです。スクエアって結構ジェリー・ヘイがアルバムに参加しているイメージがあったのですが、ちゃんと調べるとこの「YES,NO」と「R・E・S・O・R・T」だけなんですね(ひとつ前のTRUTHは生っぽく聴こえるけど、クレジットがないところを見ると打ち込みなんでしょうね)。同時期に出た伊東たけしのソロアルバム(Dear Herats)にも全面参加しているので、そういうイメージがあるのかなぁ。
イージーリスニングっぽい、って話に付け加えると、この動画を作るにあたってYouTubeを検索していたら、なんとイージーリスニング・ピアニストの代表格、リチャード・クレイダーマンがこの曲を演奏している動画がありました。どういう経緯でこの曲を演奏するようになったのかとても気になりますが、こうなると、もうスタンダードナンバーですね。