きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

いつもあなたが/装甲騎兵ボトムズ

演奏動画

サンライズの渋い一作、1983年放送の装甲騎兵ボトムズから、ED曲の「いつもあなたが」をギター+ウクレレベースで弾いてみました。ボトムズなら普通は「むせる」方を演るべきだと思うのですが、アコギバージョンがやりたかった&こっちもサビの盛り上がりがたまらない、ということからの選曲です。TVサイズなので1分余りの小品です。

youtu.be

コード進行・解説

Tempo=68.6 Key=Bb(Gm)

Intro
 |EbM7 Dm7 |EbM7 Dm7 |Cm7 D7 |F/G |Gsus4 Gm |

A(さみしい時も~)
 |EbM7 Dm7 |EbM7 Dm7 |Cm7 D7 |F/G C/E |
 |EbM7 Dm7 |EbM7 Dm7 |Cm7 D7 |F/G Gm  |

B(とおく離れていても~)
 |AbM7 Gm7       |AbM7 Gm7 |Cm7 F7 F7/Eb |Dm7 Gm7 Gm7/F |
 |C/E  EbM7 Dm7|G                 |

 

TV版ではIntro→A→Bでおしまいですが、フルサイズの場合はAの後半をもう一度繰り返す「A→B→A」という構成になっています。

コード進行でものすごく印象的なのがところどころに出てくるC/E。この流れで聴くと、単なるCの転回形でなく「このボイシングでないとだめ」という独特の雰囲気のある響きに聴こえます。これ、なんなんだろう。

Bメロは一瞬Key=Ebに転調したように思わせておいて、3小節目で元に戻ってきつつ、逆循環のバリエーション(IIm7→V7→IM7→VIm7が基本形、このうちの3番目IM7を代理のIIIm7にする。このIIIm7がグッとくる)が来て、短い小節数の中にギュッと濃縮されたドラマチックな展開。転回形を使った滑らかなベースの進行も素敵です。最後はGmでなくGで終わっていて(クラシックで言うところのピカルディ終止)解放感があるのもお約束と言えばお約束ですが(そもそものピカルディ終止ってまさにそういう効果を狙ってできたものらしいですもんね)この曲の「最後には安息が来る」という感じにメチャクチャマッチしていると思います。

あとは、ところどころに出てくるD7はもちろんそのあとに続くF/G(≒G7sus4)へのセカンダリドミナントです。

この曲について

ボトムズと言えばボーカルのTETSUがのちに超ヒットメーカーになる織田哲郎氏であるということがよく知られていますが、それはおいておいて、ここでは作曲担当の乾裕樹氏について。

乾氏はシティポップやフュージョンにもゆかりが深いミュージシャン(キーボーディスト)で、EPOの「Vitamin E・P・O 」や高中正義の「Jolly Jive」にも参加ミュージシャンとしてクレジットされています。「Blue Lagoon」のあのハモンドソロを演奏しているのが乾氏、ということなんですね。で、フュージョンバンドである「カリオカ」にも参加されていて、本ナンバーは「DUSK」というアルバムの「Never Ending」という曲がほぼそのまま使用されています。普通にフュージョンとして聴けるナンバーで、この曲に自然な歌詞を乗っけちゃった高橋良輔監督もどうかしてる(いい意味で)と思います。