Hello Goodbye/THE SQUARE
演奏動画
アルバム"打ち水にRainbow"のオープニングナンバー、「Hello Goodbye」のバッキングトラックです。動画はメインのエレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています。
構成・コード進行・解説
Tempo=148.5 Key=C
Intro→A→B→A→B
Interlude→C→B→Ending
Intro/Interlude
|C |F/C G/C |C |F/C G/C |
|C |F/C G/C |Ab/C Bb/C |
A
|F6 |C |G |Am7 |
|G |Am |G |G F C/E |Dm |
B(最後のCは1回目のみ。リピート・D.S以降はなし)
|C C/B |Am7 C/G |F Fm/Ab |
|C C/B |Am7 C/G |F Fm/Ab |
|Fm/Ab |Cm/G |F#dim |F |(C |)
C(Guitar Solo)
|C/F |Eb/F |C/F |Eb/F |
|Bb/Eb |Db/Eb |Bb/Eb |Db/Eb |
|C/F |Eb/F |C/F |Eb/F |
|G |F/G |GM7 Am7/G |GM7 /A /A# /B |
Ending
|C |F/C G/C |C |F/C G/C |
|C |F/C G/C |Ab/C Bb/C |Bb/C C |
ビートルズのオリジナル版ではイントロ等はなくいきなりAメロから始まりますが(それが印象的だともいえる)、打ち水にRainbow版はスクエアオリジナルのノリノリな(死語ですね...)イントロから始まり、間奏やギターソロ用のセクションが含まれる構成になっています。ただし、ジャズ・フュージョン定番の「2コーラス目以降にアドリブソロが繰り広げられる」というパターンではなく、普通にメロディを2コーラス分演奏した後にアドリブでないギターソロパートが入り、もう一度にテーマを演奏しておしまいという、フュージョンとしては変則的、でも全体としてはシンプル、という構成になっています。
「ロックやポップスをフュージョン風にアレンジする」というと、16beatで裏拍キメキメ・コード進行もテンションコードや分数コードにリハモしまくり...というのがよくあるパターンだと思うのですが、本ナンバーではメロディは大胆にアレンジされているものの、コード進行はかなり原曲に忠実です。大きな違いは、コーラス(Bメロ)の最後にビートルズのオリジナル版にはない「Fm/Ab→Cm/G→F#dim→F(→C)」という、ルートが半音ずつ下降する進行が追加されているところです。この進行、全てのコードにCの音が含まれていて芸が細かいなぁと思っています。
ギターソロパートだけはフュージョンっぽい進行で、コードだけ見ると分数コードだらけですが、基本的なアイデアはM→7thを繰り返す流れです。たとえば冒頭のC/F→Eb/Fは
1)基本形はF→F7
2)FMaj9→Eb/F(Maj9はテンション追加、Eb/FはV7→IV/Vという定番の変形)
3)C/F→Eb/F(Maj9のルートとサードを省略)
というわけです。
この曲について
The時代も含め、T-SQUAREのアルバムでカバーソングってとても珍しいと思います(この曲以外になにかありましたっけ?)。なぜ唐突にカバーソングが入っているのか、このあたりの事情がよくわからないのですが(このアルバムのライナーノーツは『スクエア、いったいどうしたの!?』というくらいコミカルな内容で、楽曲の情報はほとんどないですもんね)、ビートルズのナンバーが選ばれたのは、安藤氏が元々ビートルズが好きだった、というところからなんでしょうね。
でも、単なる一過性の企画でやってみたという感じでもなく、割とライブでもよく演奏されていて、THE時代後期の定番曲だったという印象もあり、なんとも不思議なナンバーです。
そうそう、Twitterでもつぶやいたのですが、伊東さんはこの曲のアルバム収録バージョンでリリコンを吹いているんでしょうか?ライブで吹いているギターのハモリパートは、アルバム版ではギターの音に聴こえます。
打ち込みでは、ギターソロのバックのコーラスをAIきりたんとメロウに歌ってもらいました。これはこれでアリと思いますが、よくある洋楽の女性コーラスの音声があるといろいろ捗るんだけどなぁ、と思いました。ああいう女声コーラスの声質、需要は結構あると思うのですが、ソフトシンセでもあんまりない感じがします。
Cakewalk by BandLab 更新情報/2021.11
2021/11/12 Update1の情報を追記。
自分用の覚え書き。
今回のアップデートではソロ関連の機能が強化されているとのことですが(といいつつ内容を見ると不具合修正に近い感じもしますが)、それよりもバグフィックスの方に重点が置かれているように見えたので、それらの内容もあわせて記載しています。
※公式サイトのリリース内容
Update1でのバグフィックス内容(build 27.11.0.18)
- 単一のトラックを「Tracks Through Entire Mix」でエクスポートすると正しくないファイル名で生成される。
- 複数のエクスポートタスクに対して同じタスク名が設定できてしまう。
- ステップシーケンサが最初のノートを認識しない。
ソロ再生機能の強化
- ソロ、エクスクルーシブソロ、追加ソロの機能向上。トラックやバスのソロ機能に関する内部処理が大幅に改善され、AUXトラックやサイドチェーンへの出力を伴うトラックやバスを含む複雑なルーティングシナリオが処理できるようになった。
筆者注:このリリース以前は、中間トラックまたはバスをソロ指定しても、信号フローが完全にソロ化されないケースがあったとのこと。
- 追加ソロが、AUXトラックやアクティブなサイドチェーンを含むトラックでも正しく機能するようになった。
- Dimソロモードが追加ソロの状態を識別し、正しく動作するようになった。
筆者注:SONAR時代の情報ですが、エクスクルーシブソロ、追加ソロについての日本語ヘルプへのリンクを貼っておきます。
https://www.cakewalk.com/Documentation?product=SONAR&language=4&help=Playback.16.html
https://www.cakewalk.com/Documentation?product=SONAR&language=4&help=Playback.17.htm
バグフィックス
Solo関係のバグフィックス
-
送信トラックがソロになっていない状態でバスをソロにすると、サイドチェーンのトラック/バスのプラグインへの送信が無音になる。
-
AUXトラック間でエクスクルーシブソロを切り替えると、ソロ状態が正しく同期しなくなるケースがある。
-
トラックのソロ解除後にエクスクルーシブソロが機能しない。
-
エクスクルーシブソロの追加ソロが正しく機能しない。
-
トラックとバスの組み合わせに対して、エクスクルーシブソロが正しく機能しない。
-
別のバスへの送信を含むバスに対して追加ソロを設定すると、オーディオ信号が流れない。
-
追加ソロがAUXトラックやバスで正しく動作しない。
-
追加ソロがDimソロモードで正しく動作しない。
-
バスをソロにするとサイドチェーンがトリガーされない。
-
AUXへのセンドを含むトラックをソロにすると、AUXが無音になる。
-
AUXにルーティングされていトラックに対してDimソロモードを使用すると、想定しないDim状態が発生する。
-
(改善点)バスをソロにした場合、トラック/バスのプラグインへのサイドチェーン送信が含まれるようになった。
エクスポート関係のバグフィックス
- トラックエフェクトとして使用されるMelodyneがオーディオエクスポート処理でハングする。
- 一部のMixに関するチェックボックスが大きすぎてダイアログに正しく表示されない。
- {taskname}タグを使用すると、ファイル名が重複するという警告が表示される。
- 「オーディオのエクスポート」ダイアログで、エクスクルーシブソロ/トラックソロ・追加ソロの状態がクリア/復元されない。
- 「オーディオのエクスポート」ダイアログで、「Tracks Through Entire Mix」に対して「Use same settings for all」オプションが表示されない。
- エクスポートオーディオディレクトリは「使用されない場合は削除され、cwpプロジェクト用にのみ作成される」のが正しい状態であるが、その様に動作しない。
- (改善点)プラグインの無音フラッシュが改善された。
- ある種のドライバをASIOモードで動作させている際に、バウンスバッファサイズに大きな値を設定してエクスポートを実行するとアプリケーションがクラッシュする。
- ソースカテゴリに「Tracks Through Entire Mix」、RANGEに「Entire Project」を指定してエクスポートした場合、トラックの長さが考慮されない。
- (改善点)トラックからのオーディオのエクスポートに、複雑なルーティングシナリオでのサイドチェーン送信が含まれるようになった。
- 「Tracks Through Entire Mix」で単一のトラックをエクスポートした場合、ファイル名が正しいものにならない。
- 一部のプロジェクトでは、ステップシーケンサークリップをバウンスしても何も出力されない。
その他のバグフィックス
- Windowsのハイコントラストモードでは設定ダイアログのカテゴリが判読できない。
- 「CTRL」+「SHIFT」を押下した状態でMIDIファイルをドラッグしてインポートすると、クリップが予期せずオーバーラップする。
- ステップシーケンサークリップがユーザープロジェクトでループに失敗する。
- ピアノロールビューでスクラブすると、アーティキュレーションが無視される。筆者注)スクラブについては以下のリンクを参照(要するに試聴機能です)。
https://www.cakewalk.com/Documentation?product=SONAR%20X3&language=4&help=Tools.16.html
- クリップに対してスクラブを使用した後では、ピアノロールでのスクラブが機能しなくなる。
- レジストリ設定として、StickyFileExportNotificationが追加された(※筆者注:詳細不明です)。
- Softubeプラグインはスキャン中にエラーが発生し、インベントリ情報にCSLIDとしてNULLを出力してしまう。
- 「オーディオフォルダの整理」ダイアログで、既定のオーディオフォルダを削除を促すメッセージが表示される。
- 「オーディオのエクスポート」「Bounce to Track(s) 」ダイアログが開いている間は、プロジェクトの自動保存が機能しない。
- プロジェクトを開いた後、AUXトラックに対して予期しないボリュームブーストが発生する。
- 特定の状況で削除キーが機能しない。
Touch The Rainbow/CASIOPEA
演奏動画
自分のギター練習用のため、エレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています。
構成・コード進行・解説
Key=D Tempo=194
Intro→A→B→C
D→E
B→C→Cx2(Piano Solo)→Cxn(F.O,)
Intro
|D |% |% |% |% |% |% |% |
|D |% |% |% |% |% |% |G/D |
A
|D |% |% |% |% |% |% |% |
|D |% |% |% |% |% |% |G/A |
|D |% |% |% |% |% |% |% |
|D |% |% |% |% |% |% |DM7 D7/Ab |
B
|G |% |A/G |% |F#m |% |Bm |Bm/A |
|G |% |A/G |% |F#m |F |Bb |Em7/A |
C
|Em9 |GM7/A |F#m7 |Bm7 |
|Em9 |GM7/A |F#m7 |Bm7 |
|Em9 |GM7/A |F#m7 |Bm7 |
|CM7 |% |GM7/A |% |
D
|BbM7/C |BbM7/C AbM7/Bb |GM7/A |% |
|BbM7/C |BbM7/C AbM7/Bb |GM7/A |% |
E(GuitarSolo)
|Gm7 |% |GM7/A |% | x5
|Gm7 |% |GM7/A |Ab7(#11) |
進行も構成も割とシンプルというか王道な感じですが、それだけにメロディの良さが引き立つ典型の一曲と思います。Aメロなんて進行だけ見たらD一発ものなのに、実際はめちゃくちゃメロディアスなので逆にびっくりします。
Bメロはいわゆる王道進行(VI→V/VI→IIIm→VIm)のバリエーション。Bメロ全体でこの進行を二回繰り返しますが、一回目の最後はGに戻るためにベースだけ下降して変化をつける&スムーズに進行させるためにベースがB→Aと動いています。二回目は一瞬Bbに転調しつつ最後は元に戻ってIIm7/V。普通はこの後I(この曲であればD)に行くのですが、この曲ではIIm7(Em)に進行するのがハズシで面白いところです。IIm7/VやIV/VはV7の代理として(特にフュージョンやAOR、シティポップでは)頻出のコードですが、調性感があいまいで、ある種終止感もあるのでこういう芸当ができるのかな、と思います。
Cメロ(サビ)はいわゆる逆循環(IIm→V7→I→VIm)のバリエーション。V7とIがそれぞれ代理コードのIV/VとIIImになっています。
Dはブリッジで、平行和音でつなぐ形。
Eはギターソロ用の2コードのパターン。I→V7を繰り返すシンプルな進行のバリエーションと言えます(それぞれ代理のVImとIV/Vになっている)。最後のAb7は(オルタードテンションである#11も含まれていますが)、BメロのGに進行するためのドッペルドミナントであるD7の裏コードです。
この曲について&打ち込みについて
本ナンバーが収録されているHALLEというアルバムは通して聴くとなんだか落ち着きが悪くて、これは多分に最後の曲がParadox Marchというドドスコ系の曲(ってなんだ笑)ということに原因があり、個人的には2曲目のHoshi-Zoraをラストに据えたほうが座りがよかったんじゃないかなぁと当時から思っています。
それはさておき本ナンバー。爽やかでノリノリの曲だなぁ~と思えば作曲は神保さん。アルバム中盤の本ナンバーとAfter Schoolのあたりの流れはワクワク感満載で、聴いていてとても楽しいですね。
打ち込みに関していうと、Aメロはコードを弾いているパートがなくて、打ち込み泣かせなアレンジと思います(白玉とかコードバッキングがないと不安になるのは悪い癖だよなぁと思うのですが)。今回の打ち込みのポイントはサビのスキャット。今回はNEUTRINOのナクモ君で再現してみましたが、多分一番苦労したのは野呂さんがなんて歌っているのかを聴きとるところでした。野呂さんご本人のスキャットと違い、少し力が入った歌い方になりましたが、これはこれでアリな感じで、同じカシオペアのあの曲とか、イントロで延々スキャットがあるT-SQUAREのあの曲とかも結構面白い感じに仕上がるのでは?と絶賛妄想中です。
Gradius(Arrange Version)/KONAMI
演奏動画
コナミゲームミュージックVol.1に収録されていたグラディウスのアレンジバージョンを耳コピ再現してみました。
原曲は言わずもがな、このアレンジバージョンもめちゃくちゃカッコイイのですが、シンセ主体のアレンジになっているということもあり、投稿内容についてはなんとか雰囲気だけでも伝えることができればよいなぁという感じです。
構成・コード進行・解説
Tempo=116
A→B→C→Interlude1→Dx2→E→Interlude2
A→B→C→Interlude1→Dx4→E'→A(xN and Fade Out)
A(空中戦1)
|Em |D |C |D |
|Em |D |C |D |
B(空中戦2)
|E |E |D (A/C#)|A |
|E |E |D C |Bb Ab G|
C(Stage1)
|C |Eb |F |Ab Bb |
|C |Eb |F |G |
|Ab |Eb |F G |Ab Bb |
Interlude1
|Gsus4 |G |Ab/G |Bb/G |
D(Stage4前半)
|C |C |Gm/Bb |Gm/Bb |
|Am |Dm7 Em7 |Fm7 |Bb/G Ab/G |
E(Stage4後半)
|C |Eb F |
Interlude2
|Dsus4 |D |Csus4 |C B |
E'(Stage4後半')
|C |Eb F |C |
※この進行は原曲ではなく、アレンジバージョンのものになります。
TwinBeeでも書きましたが、コナミの進行のド定番である同主調を行ったり来たりする展開がさく裂しまくっています。
空中戦の前半は、スケール的には一応 Key=Em ということで冒頭のコードも Em にしていますが、実際にはメロディにもバッキングにもGの音が入っておらず、EmなんだかEなんだかが不明な感じのサウンドになっています。
空中戦の後半は明らかにKey=E。マイナーコードが一切出てこず、平行和音で構成されているのがなんともSFチックです。
Stage1では、アレンジバージョンのベースが5度始まりになっているのが面白いところです。音色的にはスラップっぽい音ですが、フレーズは全くスラップではない点もバンドアレンジの対極という感じでグラディウスにマッチしていると思います。
Stage4はアレンジバージョンのサビともいえるところで、特に2コーラス目はかなり執拗に繰り返されますが、後半ベースの音色が変わっているのが芸コマです。
この曲について
冒頭にも書きましたが、グラディウスのアレンジバージョンはシンセ主体のオリジナル感あふれるアレンジになっており、耳コピしてみたのはいいものの、音色についてはどう頑張ってみても「うーん、音色の系統が同じ方向ってところまでで精一杯」という感じになりました。アレンジバージョンのアレンジバージョンみたいになってしまったのが少し悔しいところです。
原曲の方は今さら僕がわざわざ言うまでもないほど「名曲」揃いの作品ですが、特にStage4は曲の爽快感が突き抜けていていいですね。サビの16分音符連打はタグにも書きましたが「世界三大メロディの16分音符がかっこいい曲」だと思ってます。
遠雷(Distance Thunder)/THE SQUARE
演奏動画
アルバム"STARS AND THE MOON"のラストナンバー、「遠雷」のバッキングトラックです。動画はエレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています。
(2022/05/15追記)サックスなしバージョンをリクエストいただきましたので、追加でアップいたしました。こちらのバッキングトラックにはギターパートが含まれています。
構成・コード進行・解説
Tempo=56 Key=F
Intro→A→B→C
→Interlude→A→B→C
→Ending xN(F.O.)
Intro/Interlude/Ending
|F Bb/F F Bb/F |F Bb/F F |F Bb/F F Bb/F |F Bb/F F |
A
|F BbM7 |Em7/A A7 Dm7 F7/C |BbM7 C7 C7(b9) |F Bb/F F Bb/F |
|F BbM7 |Em7/A A7 Dm7 F7/C |BbM7 C7 |Em7/A A7 |
B
|Dm7 Am7 |Gm7 C7(b9) F F7 |BbM7 F/A |Gm7 Em7/A A7 |
|Dm7 Am7 |Gm7 C7(b9) F F7 |BbM7 C7 C7(b9) |F Bb/F F |
C
|C Bb/D C/E |Bb/F F |Em7/A A7 |Dm7 F7/C |
|BbM7 F/A |Gm7 F/A |Bb E7/B F/C A/C# |Dm7 BbM7 |
|Am7 Gm7 |Em7b5 A7 Dm7 BbM7 |Am7 C7 C7(b9) |
構成はシンプルで、イントロ(=間奏=エンディング)・Aメロ・Bメロ・Cメロを2回繰り返し、エンディングの進行でフェードアウト、という形です。ソロ専用のコード進行もなく、Aメロの進行でピアノソロとなっています。
全体のコード進行もシンプルで、要所要所にセカンダリードミナントが出てきてアクセントになっていること(例えばAメロの2・6小節目のA7やBメロ2・6小節目のF7)と、ベースの進行を滑らかにするためのオンコードがたくさん見られるところ(例えばAメロ2小節目後半からのD→C→Bb、Bメロ3小節目以降のBb→A→G、サビ冒頭のC→D→E→Fなどなど)あたりがポイントでしょうか。
そんな中、「おっ」と思うのはサビ(Cセクション)7小節目2拍目のE7/Bです。ここはセカンダリドミナントのE7ではなく、次のF/Cに半音進行するためのE/Bという感じです。構成音的にはE・G#(Ab)・D・B なので、Eがあるものの響きはBdim的でもあり、これはよく教本にも載っている「パッシング・ディミニッシュ・コード」的な流れともいえそうです。
あと、イントロのコード進行は I→IV/I→I(→IV)となっていて、これはいわゆるアーメン進行(IV→I)ですね。宝島のイントロ終わりのキメもこの進行です。
この曲について
T-SQUAREのアルバムのラストナンバーと言えばバラードが定番なのですが、この「遠雷」という曲は収録アルバムの「STARS AND THE MOON」全体がしっとり系のナンバーが多いために埋もれてしまうのか、同じピアノメインの和泉さんバラードである「FORGOTTEN SAGA」や「TWILIGHT IN UPPER WEST」に比べると取り上げられる機会が少ないという印象があります(ライブ映像も少ない気がします)。
が、和泉さんのソロアルバムではたびたび「Distance Thunder」という曲名で演奏されていて、僕自身もアルバム「FORGOTTEN SAGA」(ややこしい笑)のバージョンを聴いて「ああ、むちゃくちゃ癒される...」とこの曲の良さを再認識したという覚えがあります(おっさんになった、というのもあるかもしれない)。夏の終わりにぴったり、とホントに思います。
Cakewalk by BandLab 更新情報/2021.09
2021/10/31 Update1の情報を追記。
自分用の覚え書き。
今回のアップデートではエクスポートダイアログが大きく変更されました。僕自身について言えば、エクスポート処理はコントロールバーのエクスポートモジュールをポチるだけなので、今回のアップデートは横目で見ているだけという感じなのですが、エクスポート処理自体が高速化されているのは地味にありがたいです。
※公式サイトによる今回のリリース内容
Update1でのバグフィックス内容(build 27.09.0.145)
Update1はバグフィックスだけのリリースだったので、以下に対応された不具合を書いておきます。
なお、※をつけた項目は不具合ではなく改善点と思われます。
- S-Gear2 VST3プラグインを挿入するとクラッシュする。
- アレンジャーセクションのコンテクストメニューを閉じるとクラッシュすることがある。
- サラウンドバス上のプラグインを利用したエクスポートでは、プラグインのバッファの出力処理中にハングする可能性がある。
- まれにではあるが、ある種のプラグインでは、プラグインのバッファ出力処理中にエクスポートがハングする可能性がある。
- MP3のエクスポートダイアログで、取り消されたタスク設定が表示されない。
- MP3のエクスポートダイアログで、既定値が256kbpsになっていない。
- ノートブラウザタブの変更内容が、Cakewalkを再起動するまでMP3エクスポートダイアログのID3に反映されない。
- 時間で0を選択している場合、MIDIエクスポートはプロジェクト全体をエクスポートする。
- 一部のプロジェクトでは、オーディオのエクスポートダイアログを開くとWindowsの通知音が鳴る。
- オーディオのエクスポートダイアログにおいて、プロジェクトに設定されている実際のサンプルレートではなく、デフォルトのサンプルレートが使用される。
- バウンスのバッファサイズが大きい場合、96k以上のサンプルレートでエクスポートまたはバウンスを実行すると結果が無音になる。
- 無効なドライブやパスを指定している場合、意味のあるメッセージが出力されることなくエクスポート処理が失敗する。
- 外部エンコーダを利用したエクスポートが正しく機能しなかった。
- エクスポートのタスクキューに重複したファイル名があると警告する(※)。
- 複数のファイルをエクスポートする場合、ファイルの上書きプロンプトの幅を拡張し、リストをスクロール可能とした(※)。
- MIDIエクスポートでもオーディオトラックに関する警告メッセージが表示される。
- 「トラックにバウンス」ダイアログでは、サンプルレートが常に44100Hzでレンダリングされる。
- 「トラックにバウンス」ダイアログでは、不必要なサンプルレート変換を避けるために、常にプロジェクトのサンプルレートを使用するべきである(が、そうなっていなかった)。
- オーディオのエクスポートダイアログに設定したバウンスのバッファサイズが、「クリップにバウンス」処理でも(予期せず)使用されていた。
エクスポート機能の強化
- 操作方法を合理化し、よく利用される機能に簡単にアクセスできるよう設計された、直感的な新しいエクスポートUI
筆者注:ファイル~エクスポート~オーディオで表示される画面が大幅に刷新されました。以前は「名前を付けて保存」の機能強化版コモンダイアログ的な画面でしたが、今回のアップデートで専用の設定画面となりました。
- 複数のエクスポート処理を一括(バッチ化)して行うためのタスクキュー
- タグ形式で指定したトークンによるファイル名の生成
筆者注:生成されるオーディオファイル名を、{projectname}や{d}といったタグ形式のトークンで設定できるようになりました。主なトークンは以下の通り。すべてのトークンはファイル名横のペンのマークのアイコンを押下すれば確認できます。
- プロジェクト名 = {projectname} or {P}
- ノートブラウザに設定している曲名 = {notesname} or {N}
- ノートブラウザに設定しているアーティスト名 = {notesartist} or {A}
- サンプルレート = {samplerate} or {sr}
- ビット長 = {bitdepth} or {bd}
- チャンネルフォーマット = {channelformat} or {cf}
- トラック名 = {trackname} or {T}
- トラック番号 = {tracknumber} or {t}
- 日付 = {d}
- テンポ = {tempo} or {b}
- 拍子 = {meter} or {m}
- キー(調号) = {key} or {k}
- タスク = {taskname} or {TN}
- 新しく追加されたエクスポートソースカテゴリ:Tracks Through Entire Mix、トラックフォルダ、Arranger Sections
- 「オーディオのエクスポート」ダイアログボックスから直接トラックの選択とミュート/ソロトラックに簡単にアクセス可能に
- デフォルトの「オーディオファイルのエクスポート」フォルダパス
筆者注:環境設定~ファイル~保存フォルダの指定にあります。
- AUXトラックおよびサイドチェーン付きトラックのエクスポート処理の改善
- エクスポート/バウンス中の自動エフェクトテールフラッシング
筆者注:おそらく、音声入力がなくなった後も必要なエフェクト処理が自動的に行われるということと思われます。ディレイやリバーブなどを想像いただければ分かり易いと思います。
- エクスポートフォルダのリンクを含むトースト通知(エクスポートが完了すると、リンクを含むトースト通知が表示される)
- 「エクスポートオプション」ダイアログボックスの「Use These Settings for All」オプション
複数のファイルをMP3またはWMA形式でエクスポートする場合「エクスポートオプション」ダイアログボックスに「Use These Settings for All(これらの設定をすべてのファイルに適用)」オプションが追加され、ファイルごとにプロンプトを表示する代わりに、すべてのファイルに同じ設定を適用できる。
筆者注:このオプションを見つけることができませんでした。
その他の機能強化
- AudioSnapにおけるトランジェント検出処理の改善
さまざまなソース素材のオーディオトランジェントがより正確に検出できるようにデフォルトのトランジェント検出アルゴリズムが大幅に改善された。検出方法は3種から選択できる。
- 「トラックにバウンス」ダイアログボックスの改善
(トラックビューのトラックメニューで選択できる)「トラックにバウンス」ダイアログボックスも再設計され、「オーディオのエクスポート」ダイアログボックスと同様のUIになった。
筆者注:Mackie Controlはフィジカルコントローラの一種でこういう感じのデバイスです。VPotは各トラックの上部に配置されているロータリー型のつまみで、ここにいろいろな値がアサインできます。Cakewalkではこれまでもspread VPot DataTypeがサポートされていましたが、設定するパラメータによっては値の大小を逆に扱う必要があるため、本バージョンでrevspread(="reverse spread")が追加されました。
- ASIOドライバーの互換性チェック
互換性のないASIOドライバーが検出された場合、ドライバーモードのWASAPIへの変更を促す。
- プロジェクトへの複数のMIDIファイルの同時ドラッグが可能に
最適化
- エクスポート処理における、利用メモリ量の削減と処理の高速化
- トラック数が多いプロジェクトの読み込み高速化
- 「クリップへのバウンス」の高速化
Overnight Sensation/THE SQUARE
演奏動画
アルバム"STARS AND THE MOON"から、中期スクェア感満載のポップなナンバー、「Overnight Sensation」のバッキングトラックです。動画はエレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています。
構成・コード進行・解説
Tempo=159 Key=G
Intro→Ax2→B→C
→A→D→Ex2→C→F
→A→Axn(F.O)
Intro
|G |F C/E C |D |% |
A
|G9 |C9 |G9 |C9 |
|G9 |C9 |G9 |C9 |
B
|Am7 |D C |Am7 |D |
|Am7 |D C |Am7 |D |
C
|G D/F# |Em D |C |D |
|G D/F# |Em D |C |D |% |
|G D/F# |Em D |C |D |
|G D/F# |Em D |C |D |% |% |% |% |
D(Keyboard Solo)
|EbM7 |Dm7 |Cm7 |BbM7 |
|AbM7 |Gm7 |D |% |
E(Sax/Gt Solo)
|FM7/G |% |CM7 |% |
|FM7/G |% |CM7 |% |
|AbM7/Bb |% |EbM7 |% |
|Am7 |% |C/D |% |
F(Drums/Perc.Solo)
|N.C.| x16
構成はちょっと変わっていて、1コーラス目はAメロ→Bメロ→サビと普通の展開ですが、2コーラス目はAメロ→ソロ(Bメロとは違うコード進行で、2パターンあり)→サビ、そのあとドラム&パーカッションソロを挟んでエンディング扱いのAメロパートが繰り返される、という形式になっています。
転調はそこそこ多いものの、使われているコードはかなりシンプルです。
AメロのG9→C9という進行はがっつりロックンロール(進行的にはGのブルース)で、ここまでド直球のR&Rはスクェアではかなり珍しいのではないかと思います。
Bメロの進行は一回しか出てきません。メロがベースとユニゾンという、とてもシンプルなアレンジになっていて、コード弾きするだけでメロディが感じられるというお得なつくり。
サビはカノン進行のバリエーション的な進行になっていて(4つ目に出てくるコードがIIIm/VじゃなくVになっています)ぐっとメロディアスな雰囲気です。ただ、進行的にはIVのあとは下降進行せず、Vを繰り返すやはりロックンロールな感じになっています。
ソロパートはこれまでと一転、フュージョンチックにm7・M7・オンコードの代理コードがたくさん出現します。
まずキーボードソロのコード進行はKey=Bbに転調、Loving youやJapanese Soul Brothersのサビと同じIV→IIIm→IIm(→I)という進行。後半4小節はさらにKey=Ebに転調して同じくIV→IIImと続きますが、そのあとは一気にKey=G(コードはVであるDM)に戻っています。
サックスとギターソロのコード進行は同じものが使われています。最初のFM7/G→CM7という進行は、AメロのG9→C9の「フュージョン/AOR的解釈」に見えます(F/GはG9の代理コード。これがCに進行しているということでCM7に進んでいる)。ブルース進行のAOR解釈的進行、というとスティーリー・ダンのPegのAメロを思い出しますね。
元のG9→C9という進行だとKey=Gのブルースと解釈するのが普通ですが、F/G→CM7だとこれはKey=CのV7→Iと解釈するのが自然です。次のAb/Bb→EbM7も全く同じ考え方の進行です(Key=Ebに転調)。というわけで、ソロの音選びもこれらのスケールが使われています。そのあとはKey=Gに戻るために、IIm7→V7にあたるAm→C/Dと進行しています。
この後のドラム&パーカッションソロはN.C.、ラストはAメロの進行でフェードアウトとなります。
この曲について
RockoonからMagicあたりの ”THE” SQUARE 中期のサウンドは、カシオペアと違って同じフュージョン枠でありがながらどこかユルーイ雰囲気が漂っていたと思うのですが(伊東たけし氏もカシvsスクの座談会で自嘲的に話しておられました)、それはアルバムに何曲か仙波清彦氏のパーカッションがフィーチャーされたコミカルなナンバーが含まれていた影響も大きいと思います(Rockoonだと複眼人生とか、Magicだとタモリさんも参加して、さらにその傾向が強くなりますね)。今改めて聴いても「ジャンル不明」感をすごく感じます。
和泉氏加入後はスクェアというバンドにぐっと落ち着いた雰囲気が出てくるのですが、このOvernight Sensationはそういった「脱力系」時代の名残を持った最後の曲と思います。本ナンバーが収録されている「STARS AND THE MOON」というアルバム全体が「渋い大人の雰囲気」なので、この曲の能天気な調子がより際立っているという...。その分、この曲のサックスとギターソロの爽快感もとびぬけていると感じます。
打ち込みではドラム&パーカッションソロの箇所が一番ハードルが高かったです。二小節ごとに出てくるノイジーなSEも、途中から入ってくる太鼓のような音も正体不明ですし、後半で出てくるワチャワチャした歓声は泣く泣くオミットしてしまいましたが、全体的な雰囲気は、まあこんなものかなぁと。ちなみにラストのクレッシェンドしているノイズはSynth1で作っています。
ここまで書いていて思ったのですが、Overnight Sensationって、いまだとTRFの曲の方が有名ですよね...。TRF目当てで本文章を読んでしまわれていた方がおられたら、ゴメンナサイ。