きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

Take Me/CASIOPEA

演奏動画

有名なMint Jams版ではなくて、SUPER FLIGHTの生ピアノ版です。自分のギター練習用のため、全ギターパートを除いたバッキングトラックになっています。ピアノを打ち込むのは楽しい。

youtu.be

構成・コード進行・解説

Key=G/Tempo=105.5

Intro→A→B→A'
→Interlude→C→B'

→D→D'

→A''

Intro/Interlude
 |Em7|A7|Em7|A7 Eb7|

A

 |Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5) B7|Em7|Bbdim|Am7 D7|Em7 Eb7|

 |Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5) B7|Em7|Am7 Baug|CM7|F7|

B

  |F#m7 B7|Em7 E7|Am7 A7|Dm7 Ebdim|

  |Em7|C#dim Bbdim|Dm7|E/G (=G7(b9,-b13))|

A'(A前半7小節と同じ)

 |Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5) B7|Em7|Bbdim|Am7 D7|

C(ギターソロ)※前半はAの変形、後半はイントロの変形

 |Dm7|G#dim|Am7|D7|Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5)D7|

 |Em7|A7|Em7|A7|Em7|A7|Em7|A7 CM7|

B'(Bとは最後の小節だけが違う)

  |F#m7 B7|Em7 E7|Am7 A7|Dm7 Ebdim|

  |Em7|C#dim Bbdim|Dm7|Fm7 Bb7|

D(ピアノソロ前半)

  |EbM7|Bdim|Cm7|Am7(b5) Abm6|Gm7|AbM7|Am7(b5) D7|Gm7 Gb7 Fm7 Bb7|

  |EbM7|Bdim|Cm7|Am7(b5) Abm6|Gm7|AbM7|Am7(b5) D7|Gmaj7 G7|

D’(ピアノソロ後半、Dの短三度下で進行)

  |CM7|G#dim|Am7|F#m7(b5) Fm6|Em7|FM7|F#m7(b5) B7|Em7 Eb7 Dm7 G7|

  |CM7|G#dim|Am7|F#m7(b5) Fm6|Em7|FM7|F#m7(b5) B7|Em7 Eb7|

A’’

 |Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5) B7|Em7|Bbdim|Am7 D7|Em7 Eb7|

 |Dm7|G#dim|Am7|F#m7(b5) B7|Em7|Am7 Baug|CM7|%|F7|%|

 
正直なところdimとaugとテンションにまみれていて僕なんかの知識ではさっぱり読み解くことができません。「ゴージャス~、耳福耳福」とか言って聴くだけにしたい気持ちでいっぱいです。

 

が、勉強もかねて、解釈できるところを頑張ってひも解いてみます。

イントロ最後のEb7~Aセクション冒頭のDmは偽終止(通常であればEb7→Bb(inBb)となるところをIIImであるDmに進行している)。

この後のAセクションはKey=C(Am)的に進行しつつ、要所要所のマイナーコードにさしかかる前にドミナントの代理が入っている感じでしょうか。G#dimは次のAm7に行くセカンダリドミナントのE7の代理コード。そのあとのF#m7(b5)~Em7はマイナー系のII-Vですね。次のBbdimはお手上げ。Am7に進行するために半音上からアプローチしてるのでしょうか?

Aセクション最後のAm7→Baug→CMaj7の上昇進行はカッチョいいですね。ダイアトニック的に進めば真ん中はBm7(b5)ですが、これをaugにしてしまうという...。理論的に考えればBaugは構成音がB・D#(=Eb)・F##(=G)なので、G7(b13)の展開形としても考えられますね。なるほど!

Bセクション。F#m7→B7→Em7のB7はb13も入っていてここもaug的な感じ。ベースがF#音を弾いてるのでB7としています。どっちにしてもドミナントモーション。Am7→A7→Dm7も同じ考え方。Em7のあとの連続dimは、端的に言うとA7の代理・展開形で次のDm7につなげているんだと思います。最後のE/Gは野呂一生氏自らが「アッパートライアドストラクチャーを使っている」とコメントされているのでこの表記にしてます。E/Gって、パッと見ると「ベース音が上のコードにも含まれてないどころか3rdの音と半音でぶつかっている!意味不明!!」と思いましたが、野呂氏の弦の押さえ方を見ていたベースの桜井氏がボソっと漏らされていた「G7(b9,b13)」という解釈に同感で、次のAセクションがKey=C的な流れなのでG7で締めたと考えれば理解しやすいかな、と思いました(E/Gは下から G - E -G#(Ab) - Bで、Gから見ればそれぞれR-b13-b9-M3)。

CセクションはAセクション+イントロが基本の流れなので省略。

DセクションはMaj7スタートになって開放感・疾走感にあふれています。Bdimは次のCm7に行くためのG7の代理(G7(b9)のGを省略)。続くAm7(b5)→Abm6→Gm7はマイナーのII-Vかなとも思ったのですが、実際に弾いてみるとAm→Abm→Gmの半音進行的な響きのバリエーションに聴こえます。ここまでdimやaugだらけだったので、m7すら明るく優し気に聴こえる...。折り返しのGm→Gb7→Fm7→Bb7は、後半2つはEb7に戻るためのII-V、その前のGb7はC7の代理なのでGmからの流れで解釈すればこれもFm7に向かうためのII-Vといえます。この構築美、しかも聴いていて自然、すごいです。2巡目は短三度下のKey=Cに転調するためにGmaj7→G7とV7をはさんでます。D'セクションはDのキー違い。

 

驚くのはテンション・ノンダイアトニックコード・転調テンコ盛り、しかも難しそうなコードを適当に並べているんではなく、ちゃんと理論に裏打ちされているこの曲を、野呂氏が18~19歳(!!)で書いちゃっているということです。というか、曲調的にもギタリストが書いたと思えないですよね...。ほんと驚くばかりです。

 

この曲について

冒頭にも書きましたが、Take Meで有名なのはMint Jamsに収録されている、GS-1でメロディを弾いているバージョンだと思うのですが(ライブでも向谷氏はたいていエレピの音色で弾いておられるということもあります)、個人的には生ピ+弦のアレンジがただただゴージャスでオシャレなこのSUPER FLIGHTのバージョンが大好きです。ピアノソロと弦の掛け合いが絶品で、何回聴いても「かっこいー!」となります。