Looking Up/CASIOPEA
演奏動画
自分のギター練習用のため、エレキギターパートを除いたバッキングトラックになっています(途中から入ってくるアコギのバッキングパートはそのまま含めています)。自分で作っておいて言うのもナンですが、イントロ後のパートでギターのピンチアウト音がないとやはり物足りないですね。
構成・コード進行・解説
Key=D/F, Tempo=179.5
Intro1→Intro2→Ax2→B→Ax2
→Ax4→B
→C→D1→C→D2x3→D3→Ending(Fade out)
Intro1
|DM7 |DM7/F# |DM7/A| % |
|F#m7|FM7/A |FM7/C |E7 |
Intro2/A/Ending
|Em7/A | % | % | % | % | % | % | % |
B
|DM7 | % | % | % |Em7 | % | % | % |
|CM7 | % | FM7| BbM7 |Em7/A | % |
C
|DM7 |F#m7 GM7|Am7 |B7(b9b13) B7|
|Em7 |GM7 |F#m7/B|Gm7/C C7/E|
D1
|FM7 |B7(b5) |BbM7 |Eb9|
|F/A |Dm7 |Em7/A | % |
D2
|FM7 |B7(b5) |BbM7 |Eb9|
|F/A |F#dim |Gm7 |C7 Caug/F#|
D3
|FM7 |B7(b5) |BbM7 |Eb9|
|F/A |F#dim |Gm7 |
まず、曲の構成が面白いです。Take Meもそうでしたが、「Aメロ-Bメロ-サビ」を何コーラスか繰り返す、というようなよくある構成ではなく、前半と後半でまったく違う展開になっており、それぞれが2つのセクションで構成される、という形式になっています。
前半のAセクションはこの曲の代表的なパートですが、ここはEm7/A一発です。Em7/Aは機能的にはA7の代理なので、よくある7thの一発モノをフュージョン定番代理和音のIIm7/Vでやってみている、というアイデアでしょうか。
Bセクションでは少しカラフルになり、後半では4度進行しつつすべてM7で転調しながら元に戻ってきます。最後のEm7/A(IIm7/V)は11th系というか4th系というか、とにかく調性感があいまいなので急に戻っても割と自然に聞こえますね。
そのあとはギターソロですが、基本的にこの前半部を繰り返したものです。
この後が後半戦。この曲の一番の盛り上がりどころとなります。コード進行もとてもカラフルで、そのまま聴いたり弾いたりしているだけなら本当に気持ちがいいのですが、アドリブしたり分析するとなぜこのコードがここで出てくるんだろう、と悩みどころがたくさん出てきます。
まずCセクション、出だしはI-IIImで普通の感じなのですが、そのあとIV-Vm7-VI7-IIm7と展開します。太字にしたVm7=Am7がよくわかりません。自信がないのですが、ここは3小節目からKey=Gに転調していると考えたほうがいいのでしょうか。そう考えるとI-IIm7-III7-VIm7で理解しやすいのですが、野呂一生はそう考えてAm7を持ってきたのか、感覚・センスでこれが気持ちよかったのかとても気になります。
いずれにしても4小節目のB7はEmに行くためのセカンダリードミナント。DセクションへのつなぎはGm7/C~C7/EですがこれはC7の代理でそのあとのFに行くためのドミナントです。この直前のF#m7/Bがまたよく説明できません。このあとのGm7/Cへ半音上からアプローチ?GM7-F#m7/Bという流れは弾いてみると違和感が全くないのですが、なんでここでこれが出てくるんだろう。
DセクションはKey=Fに転調。ここは比較的分かり易いです。2小節目のB7(b5)だけはすこし変わり種ですが、これは次のBbM7に行くためのセカンダリードミナントF7の裏コード。ミソになっているのがb5で、実音でいうとFですが、この音はこの後のコードでもBbM7(Fは5度)~Eb9(9度)~F/A(1度)と綺麗に同じ音でつながります。そのあとのF#dimはD7の代理(Gm7へのセカンダリドミナント)ですがベースが半音進行になり、響きもジャジーでぐっとアダルトな感じになりますね。そのままC7~Caug/F#(もちろんFへのドミナント)ときてFに戻ります。
ちなみに、今一番入手しやすいであろうドレミ楽譜出版の譜面だと、このセクションのEb7(9)のギターパートのタブ譜がなぜかEbM7(9)になっており(最初に出てくるところはコード表記もEbM7(9)。これ、明らかに間違いです)、ほかのパートと音がぶつかって悲惨なことになるのでご注意くださいませ。ベースも入れるとDb(=7th)・D(=maj7、これが間違い)・Eb(=Root)と半音違いで3音が密集するというえらい状態になります。
Take Meと比べると使われているコードそのものはシンプルですが、使い方に自信をもって説明できないところがたくさんあって自分自身の勉強不足を痛感します。楽曲投稿後一週間が経過したのでひとまず解説記事として公開しますが、いつかリベンジしたいと思っています。
この曲について
発表当時、カシオペアファンの友人は8ビートであることに衝撃を受けたらしいのですが、フュージョンにスクエアから入っていた僕は、そこにはあまりビットは立ちませんでした(スクエアは普通に8ビートの曲も多いですもんね)。代わりに思ったのがベースライン。時代的にシンセベースをよく耳にしていた頃なので~実際スクエアはシンセベースの曲もよくあった~こんな機械的なラインをずーっと生ベースで弾いている、というところにとても驚きました(流石に最後の方は遊んでいますが)。
このベースラインは4ビートのウォーキングベースと並んで大発明と思うのですが、別の曲でこのラインを弾いても、全部Looking Upになってしまうのが難点ですね...。