きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

元気を出して/竹内まりや

演奏動画

2019/3/29に放送された小田和正さんの音楽特番「風のようにうたが流れていた」で、小田和正さん・根本要さん・水野良樹さん・スキマスイッチの5名により演奏されたバージョンを耳コピして、NEUTRINOのシンガー3名+αに歌わせてみました。


youtu.be 

構成・コード進行・解説

Key=C/Bb/Eb, Tempo=92

Intro→A1→B→A2→C→A2'
Interlude→C→A3→Ending

Intro/Ending
 |C FM7|G Am7 G|FM7 F/G|C Dm7/G G7|

A1(涙など~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |FM7 Em7|Dm7 G7|

B(終わりを告げた~)
 |EbM7 Dm7|Gsus4 G7|Cm7 F7|BbM7 Bm7(b5) E7|
 |Am7 |D7 |G7sus4 G7|% |

A2(幸せに~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |F#m7(b5) Fadd2|C Gm7/C C7|

C(少しやせた~)
 |F G/F|Em7 Am7|Dm7 G7|C Gm7/C C7|
 |Fm Bb7|EbM7 Cm9|Dm7 |G7sus4 G7 |%|

A2'(チャンスは~)
 |C FM7|G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7|E7 Am7 G |F#m7(b5) Fadd2|C F/G G|

Interlude
 |C FM7|G Am7 G|FM7 F/G|C Gm7/C C7|

A3(人生は~)
 |C FM7 |G C G/B|Am7 D7 |Dm11/F G7|
 |C FM7 |E7 Am7 G |Dm7 FM7/G|C F/G G|
 |Dm7 FM7/G|C |


この曲、シンプルに聞こえるのですが、ちゃんと分析するといろいろ凝っていて面白いところが多い楽曲です。

まず構成。いわゆる「Aメロ-Bメロ-サビ」みたいな構成ではなく「A-B-A-C」となっています。しかもBセクションは曲全体を通じて一回しか出てきません(勿体ない!)。AセクションとCセクションはどちらかがサビという感じはなく、ちょっと洋楽的な構成になっています。「元気を出して」ってわりと定番J-POPだと思うのですが、こういう変化球な構成でメジャーな曲になるのはなかなかすごいことだと思います。

次にコード進行。変な(=マニアックな)コードは出てきませんが、やはりいろいろろ凝っています。まず、A/B/Cの3セクションに分けられると思いますがB/Cセクションは違うキーに部分転調します(Bb、Eb)。

Aセクションはこの曲のテーマ的なセクションで都合4回出てきますが、最後のコード進行が4回ともちょっとずつ違います。コード進行のポイントとしては、まず前半3小節目に出てくるD7はそのあとのGへのセカンダリドミナント。A2で出てくるF#m7(b5)はD7の代理です。もともとはD7-G7-Cという流れだったものが、原曲ではF#m7(b5)-Am/G-Cに、今回のバージョンではさらにリハもされてF#m7(b5)-Fadd9-Cになっています。Fadd9はAm/Gと構成音がほぼ同じですが、こうすると直前のGから半音ずつベースが下降してイイ感じですね。メロディはダイアトニックですがコードがちょっと哀愁を帯びた感じになって、この曲の切ない感じを醸し出していると思います。

BセクションはKey=Bbに転調してVI-IIIm-VI7-IIm7-V7-Iという流れ。2小節目のA7はDm7へのセカンダリドミナントです。ここからKey=C(Am)に戻るため、後半のAm7に向けてマイナーのII-V(IIm7(b5)-V7)が挟まっています。

Cセクションは前半はKey=Cのまま王道進行。最後にFmへのセカンドドミナントであるGm7/C~C7をはさんでKey=Ebに転調し逆循環(IIm-V7-I-VIm)の進行をしつつKey=Cにもどる、という感じです。

あと、全体として切れ目切れ目で四分音符*2のダン・ダンというリズムが挟まっているのも特徴だと思います(例えばAメロ2小節目のC-G/B)。これがないと「元気を出して」感が半減する気がします。

なお、上記進行は「風のようにうたが流れていた」で演奏されたバージョンです。原曲は2回目のCセクションのあとKey=Dbに(半音上に)転調し、Aセクションを繰り返してフェードアウトします。

この曲について

先にも書いた通り、この動画は小田和正さんの音楽特番で演奏されたバージョンをもとにしています。この演奏は伴奏もスキマの常田真太郎さんのエレピだけというシンプルなものですが、男性4人による素晴らしいハモリが披露されていて、ほんとうに耳福なパフォーマンスでした。

NEUTRINOを使えば(全然レベルは違いますが)再現はできそうだということで作成したのがこの動画の演奏です。

最初はAIきりたんだけで作っていたのですが、ユニゾン部分での位相ずれによる「うなり」が気になったので、Ver.0.400以降のバージョンで追加されたイタコやメロウのシンガーにも参加してもらって四声ハモリとしています。

YouTubeの説明欄にも書いていますが、各パートは以下のようになっています。定位も放送での並びに準じています。
 一番右:きりたん(小田和正パート)
 センター右:イタコ(根本要パート)
 センター左:めろう(水野良樹パート)
 一番左:きりたん/FormantShift:0.90(大橋卓弥パート)

JSUTや謡子については声質がポップス向きでなかったので採用せず、FormantShiftを変更したきりたんを第四のシンガーとしています。