きんけけ宅録楽部(楽屋)

趣味のギター&打ち込みの楽屋裏的解説。

Cakewalk by BandLab 更新情報/2021.06

2021/08/08 Update3の情報を追記

2021/08/01 Update2の情報を追記

自分用の覚え書き(抄訳)。

作成中のプロジェクトがあったので更新するのが遅くなりました。そのため、Update1の内容も含めています。

今回のアップデートはかなり細かい動作改善が中心となっていますが、個人的には「ピアノロールビューで指定したノート名がトラックごとに保存される」ようになったのがかなりヒットです(リズムトラックとそうでないトラックを行ったり来たりしているとき、頻繁に設定変更しないといけなかったので)。 

※公式サイトによる今回のリリース内容

Update3でのバグフィックス内容(build 27.06.0.058)

量が多いことや内容的にも割と細かい事柄が多かったため、これまでは更新情報のうちバグフィックスについては省略していたのですが、今回のUpdate3はバグフィックスだけのリリースだったので、以下に対応された不具合を書いておきます。恥ずかしながら、FXラックにシンセが挿せることや、AUXトラックの存在について今回の記事作成で初めて知りました。

  • アプリケーション内でGoogle認証ができなくなっていた。
  • FXラックにソフトシンセを挿入しているトラックとAUXトラックの両方を含むプロジェクトを読み込むと、システムがハングする可能性があった。
  • プレイリストでスペースキーを押しても、演奏が開始されなくなっていた。

 Update2での強化ポイント(build 27.06.0.057)

  • Windows 10 build 2004にて導入された新しい電源管理機能である「モダンスタンバイ」に対するサポートを追加。
  • Windowsがスリープ状態から復帰する際の処理を改善。ドライバが再起動を要求したり応答しない場合、Cakewalkは必要に応じてドライバをリロードする。
  • ダイアログボックスが開いている場合、サスペンドと再開処理は適切に処理される。
  • プロジェクトを開いた際にVSTインストゥルメントの出力数の変化を検出し、ユーザによる操作を必要とせず、自動的に適切なポートを再アサインするようになった。

    これまでは、VSTインストゥルメントが出力数を変更すると、保存されているプロジェクトのポートが出力の変更によって相殺される可能性があり、こうなった場合はほかのVSTインストゥルメントトラックの入力が再アサインされるまでCakewalkが演奏を中断する原因となっていた。

  • その他、各種バグフィックス

Update1での強化ポイント(build 27.06.0.053)

  • 入出力ポート名の改善
  • テンポデシメーションがより細かく設定可能に

Cakewalk.ini中の TempoImportDecimationResolution および TempoMapDecimationResolution の各変数に60ticksより小さい値が設定可能となった。

※デシメーションは「間引き」を意味する用語。テンポ情報をどれくらいの解像度で実際の演奏に反映するかの情報と思います。

  • PCのスリープ/復帰に対応

サスペンド/休止状態への移行や、そこから復帰することをWindowsから通知された場合、オーディオエンジンを停止・再開するようになった。

 

新機能

  • ハードウェア/ソフトウェアの入出力ポート名の改善

Cakewalkではすべてのポートがチャネルのステレオペアにまとめられている。これらのポートがハード/ソフトシンセの物理的なチャネルと関連付けしやすくなるように、ポート名の表示方法を改善した。新たな表示方法は以下の通り。

* オーディオおよびソフトシンセの入出力ポート名には、ポート名の前にチャネル番号が接頭辞として付加される(フレンドリーネームが設定されている場合、接頭辞は表示されない)。

* ポート名には実際に参照しているチャネルの名称が常に表示される(これまでは、一つ目のチャネル名が表示されていた)。

* ユーザがデバイス名を定義する場合(環境設定画面の オーディオ - デバイスの選択 画面で行う)、チャネル名をパイプ記号("|")で区切ることで、ステレオペアの左右両方のチャネルを設定することができる(例: "Guitar|Voice"と定義すれば、メニューでは「1:Guitar,2:Voice,1+2:Guitar + Voice」と表示される)。

* 見やすさを優先するため、トラックビューやコンソールビュー・インスペクタ上では、デバイスベンダー名が省略された短いポート名が表示される。完全な名称はツールチップで表示される。

* ポート名は短縮化されなくなった。新しいポート名では、ポートにインストゥルメント名を使用する場合を除いて、文字列を短縮するためにフレンドリ名を使用する必要はない。

* フィルター値の編集やMIDIチャネルは短縮化されなくなった。これにより、たいていのケースでパラメータ名が楽に読み取れるようになったはずである。

* コンソールビューのハードウェア出力ストリップに表示されるハードウェア名も、ASIOモードにおけるチャネル名と同様に、チャネルインデックスを表示するようになった。

* センド上では短いポート名と、可能であればポート番号が表示されるようになった。

 

2019.09にリリースしたバージョンで、ドロップアウト発生時の一般的な原因を診断・解決できるようにするため、ドロップアウトアナリティクス(Dropout Analytics)を導入した。ドロップアウトメッセージは、問題の診断には確かに有用であるが、その一方で、プロジェクト編集時やセッションの読み込み・書き込み時に発生するちょっとしたオーディオ処理の中断時にも表示されるのは少々煩わしいものである。

今回のリリースでは、あまり重要でない特定のドロップアウト通知を無視することにで、よりスマートにドロップアウトを管理できるようなった。以下の ドロップアウトコード は、ドロップアウトの原因がCPUの使用状況に起因していることから無視することができると考えられるものである。これら以外のドロップアウトはシステムの状態に起因するものなので、簡単に回復できないものである。

* ドロップアウトコード 1 : バッファに割り当てられたタイムスライムよりも長い時間がオーディオ処理にかかった。

* ドロップアウトコード 3:  DropMSec(ms)よりも長い時間、ドライバがオーディオバッファを要求しなかった。ドライバが過負荷となる可能性がある。

 

ドロップアウトは、以下のような状況下では無視される。

* アプリケーションがアイドル状態

* 様々な編集処理の実行中

* リアルタイムのバウンス/エキスポート/フリーズ実行時

* プレイリストビューでの音楽再生時

* ビューの表示/閉じる、スクリーンセットの操作中

* ミックスの再呼び出し

 

再生/録音中のドロップアウト処理

通常、Cakewalkは再生中に多くのバッファ遅延が発生すると、再生・録音を中止する。しかし、無人録音やライブ中の処理中断は、破壊的な結果をもたらす。

これらの状況に対応するため、新オプション MaskDropoutDetection が追加された(環境設定画面の オーディオ - 設定ファイルで指定できる)。このオプションを True とした場合、再生や録音中のドロップアウトは無視されるようになる。

機能強化

  • 既存のアレンジメントから新しいアレンジメントを作成

    この機能を使うには、アレンジャーインスペクタ上のアレンジメントペインで任意のアレンジセクションを選択し、アレンジメントペイン上で右クリックして New Arrangement From Selection を指定すればよい。

  • コミットしたアレンジメントの挿入

    アレンジメントペイン右側のハンバーガーメニュー(チェック付きのハンバーガーメニュー)の Commit Arrangement to Project を指定することで、アレンジメントペインのアレンジを既存のプロジェクトに挿入することができるようになった。

  • テンポトラック上でのグリッド表示

    テンポトラック上で右クリックし、Show Grid Lines を指定すると、テンポトラックにグリッド線が表示される。

  • エンベロープ編集におけるフリーハンドツール利用時のスムージング方法の指定

    エンベロープ編集時、フリーハンドツールを使う場合のスムージング方法が選択できるようになった。トラックビューのオプションメニューでFreehand Smoothingを指定し、以下のオプションから選択する。

    • Smooth : 既存のカーブフィッティング(各点をつなぐのに最も当てはまる曲線を求めること)機能を使用する(デフォルト設定)。
    • As Drawn(Linear) : 各ノードを直線でつなぐ。
    • As Drawn(jumps) : 各ノードをそのまま利用する。とびとびの形状となる。
  • 単一のインストゥルメントトラックの置換

    プラグインシンセ挿入時に「各出力のインストゥルメントトラック」オプションを指定すれば、Cakewalkは単一のソフトウェアシンセ(のインスタンス)に対して複数のトラックを生成する。今回のアップデートで、同じソフトウェアシンセ(のインスタンス)を共有しているほかのトラックには影響を与えることなく、あるトラックのシンセを別のシンセに変更できるようになった。置換する場合、対象のインストゥルメントトラックを右クリックし Replace Synth for This Track Only を選択する。

  • シンセ置換時の出力ポート数不一致に対する処理

    出力ポートが少ないシンセに置換する場合、不足する出力分を埋め合わせるように複数の新しいシンセのインスタンスで置換できるようになった。

  • ピアノロールビューにおける、トラックごとのノート名の保存

    ピアノロールビューでノート名を指定した場合(左側ペインのピアノ鍵盤あるいはノートラベルで右クリックして指定する)、指定したノート名がトラックごとの既定値として保存されるようになった。ピアノロールビューを閉じたり再オープンした場合、そのトラックで最後に設定されていたノート名が表示される。この設定はプロジェクトに保存される。

  • Articulation Map Editorにおける「New Note」編集用の新しいオプション

    Articulation Map Editor の Transform Existing MIDI Events セクションで、「New Note」出力時のスタートタイムのオフセット値を指定したり、デュレーションを上書きできるようになった。

    • Time Offset(T) : 新しいノートに対して適用される MBT形式での遅延時間。
    • Duration Override(D) : 新しいノートで置換されるデュレーション。0:00:00を指定すれば、元のノートの値が引き継がれる。
  • 複数トラックの同時並び替え

    複数のトラックを選択して希望するトラックにドラッグすることで、複数トラックの並びを同時に変更できるようになった。制限は以下の通り。

    • 選択されているトラックそのものあるいや直前には移動できない(例えば自分自身の場所には移動できない)。
    • 選択したトラックにトラックフォルダが含まれている場合、別のトラックフォルダへは移動できない(現時点ではトラックフォルダのネストはサポートしていない)
    • トラックフォルダを選択している場合、トラックフォルダ内のトラックを選択してトラックフォルダ外へ移動する場合を除き、トラックフォルダ全体が移動される。
  • 「選択したクリップを、リンクしたクリップとして複製」コマンド

    「リンクしたクリップ」としてクリップを複製する場合、CTRL+SHIFT+Dを押下する。

  • VST3サポートの向上

    • VST3の新しいMIDI Contorol Change学習機能をサポート。
    • VST オーディオバスは既定では無効となり、そのバスを利用するトラックの要求に応じて有効化されるようになった。
  • その他の機能向上

    • ピアノロールビューのドラムグリッドペイン上でALT + マウスホイールを利用することでズームイン/アウトが可能となった。
    • 新しいメニューのレンダリングが向上。
  •  動作変更

    Insert Tempo Change ダイアログボックスの既定値が Change the Most Recent Tempoに変更された。ただし、テンポインスペクタ上でプラスボタンを押下して表示した場合、既定値はInsert a New Tempoとなる。

最適化

  • WASAPIドライバを利用している場合の起動時間向上

    以前のCakewalkでは、いくつかのマルチチャネルオーディオデバイスを利用している場合、起動時間が非常に遅くなるケースがあった。これは出力チャネル数をチェックししていることが原因である。今回のアップデートでは、これらの値がキャッシュされるようになり、起動時間が向上している。